学校の児童生徒の健康データを調べている学校保健統計(文部科学省)でアレルギー性の疾患であるぜんそく(喘息)やアトピー性皮膚炎の子どもの割合の推移を見てみよう。

 自動車の排気ガスなどの大気汚染や化学物質を使った新建材の影響、及びアレルギー自体の広がりによって「ぜんそく」にかかっている児童生徒は急速に増加してきた。高学年ほど悪化する視力とは逆に、小児ぜんそくが多いため、ぜんそくの児童・生徒は、小学生がもっとも多く、中学生、高校生と症状は改善する。小学生になる前の幼稚園児の場合は小学生よりまだ割合は低い。

 時系列的には、いずれの区分でも、1990年代後半から増加のテンポが高くなったが、2010年前後にピークとなり、環境が改善したためか、最近はむしろ低下傾向に転じている。

 以上のように、ぜんそくにかかっている園児や児童生徒の割合を見ると急増した後、最近はむしろ減少している。

 ところが同じアレルギー性の疾患であるアトピー性皮膚炎については同じ動きではない。

 アトピー性皮膚炎の割合は2006年から2013年頃までは、幼稚園園児、小・中・高校生すべてで減少傾向にあったが、その後、幼稚園児はさらに減少する一方で、小・中・高校生は増加に転じ、中学生、高校生は2018年に過去最多となっている。

 アトピー性皮膚炎はぜんそくと同じように、幼稚園児の場合はまだひどくなく、小学生で割合が一気に高まり、中学生、高校生で割合が低下する。ところが、最近の動向は、ぜんそくは減少、アトピー性皮膚炎は増加と逆なのがナゾである。

 「文科省の担当者は「はっきりした要因は不明」としつつも、専門家の意見として「抗菌、除菌グッズが増え、子育て環境は清潔になっている。こうした環境で育った子供は免疫を十分獲得できず、アレルギー体質になりやすいと言われる」と説明。幼稚園児のアトピー性皮膚炎が減っているのは「保護者に保湿などスキンケアの意識が広がったためではないか」と指摘した」(毎日新聞2018年12月22日)。

 つまり、幼稚園ぐらいに清潔にしすぎているので、小学生以上で、むしろ、罹患率が上昇しているという説のようだが、本当だろうか?

(2019年2月18日収録、12月21日更新)


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