メンタルヘルス上の問題(精神疾患)を抱えている者が就労や通学でどれだけ不利となっているかのデータをOECD報告書(図の資料名参照)で見てみよう。

 まず、就労ギャップであるが、健常者と全く同等の就労を100、何らかの精神上の問題を抱える者はすべて働いていない状態を0として指標化した結果は、OECDで約2割の就労ギャップという結果になっている。

 就労ギャップが大きい国はハンガリー、ノルウェー、英国などであり、約3割程度のギャップとなっている。

 反対に就労ギャップの最も小さな国は日本であり、ギャップは1割を大きく下回っている。日本に次いでイタリア、スイスなどの就労ギャップも小さい。

 次に学歴ギャップをメンタルの問題ありとなしの大卒割合で比較してみると、スロベニアの例外を除いて、いずれの国でもメンタルの問題ありの者の方がなしの者より大卒割合が低くなっており、やはり、メンタルの問題を抱える者は高等教育を終えにくいことが分かる。

 OECD平均では、メンタルの問題なしの場合の大卒割合は35.5%であるのに対してメンタルの問題ありの場合は27.9%と7.6%ポイント低くなっている。

 日本の場合は、前者が48.4%、後者が46.4%とギャップは2.0%ポイントと比較的小さくなっている。

 このOECD報告書によれば、世界の中では、日本のメンタルヘルスにもとづく就労ギャップや学歴ギャップは比較的小さいとえいよう。

 ここでデータの国名を掲げておくと、最初の図の順番に、ハンガリー、ノルウェー、英国、アイスランド、スペイン、デンマーク、米国、フィンランド、オランダ、オーストリア、ギリシャ、ポーランド、スウェーデン、ベルギー、スロバキア、イスラエル、スロベニア、チリ、ラトビア、ニュージーランド、ポルトガル、アイルランド、リトアニア、ドイツ、エストニア、ルクセンブルク、カナダ、フランス、チェコ、スイス、イタリア、日本である。

(2021年7月21日収録)


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