厚生労働省が行っている国民生活基礎調査は、毎年の簡易調査の他に3年ごとに大規模調査が行われ、この際には簡易調査の世帯票、所得票に加えて健康票、介護票による調査が実施される。また世帯票、健康票については、サンプル数が全国の30万世帯、74万人と簡易調査の5倍に拡大された調査が行われる。

 この健康票では、体の具合の悪いところ(自覚症状)があればどんなところかをきいており、大規模調査だけに、それぞれの症状について、男女年齢別に細かく集計されている。

 調査票の症状の選択肢には熱がある、眠れない、肩こりをはじめ42の症状が掲げられているが、年を重ねると多くなるとされる「目のかすみ」と「腰痛」という症状について、それらがあると回答した者の割合を年齢別に図にあらわした。

 これらの症状は、70代に「目のかすみ」は1割前後、「腰痛」は2割前後と大きく上昇するが、それ以前にも、30代、40代、50代、60代と徐々に罹患率が上昇してくる傾向が認められる。

 「腰痛」は、30〜40代でも1割近くが悩む国民病的な症状であることが分かる。

 なお、これらの症状への回答は、前問の「あなたはここ数日、病気やけがなどで体の具合の悪いところ(自覚症状)がありますか」に「ある」と回答した者のみが答えている。全体として具合の悪いところががないと感じている者は回答しておらず、症状が「目のかすみ」や「腰痛」だけの者は前問で具合が悪いと回答していない場合も多いと考えられる(末尾図参照)。従って、実際は、前問を飛ばして、「目のかすみ」と「腰痛」に該当するかどうかだけをきけば、ここでの割合より、もっと多い人が答えるのではないかと考えられる。

 図録2131には、「耳がきこえにくい」と「もの忘れする」についての同様のグラフを掲げたが、この2症状が中年期までは少なく、70代から特に大きく増えるのと比較して、「目のかすみ」と「腰痛」は40〜50代の中年期から段々と罹患者が増えてくる点が異なっている。

 次図には参考までに男女別の年齢別結果を掲げた。「目のかすみ」、「腰痛」ともに年齢を問わず女性が男性を上回っている。

 加齢にともなう変化としては、女性の場合、50代前半に、一時期、男性との差が大きくなる点が目立っている。これは、いわゆる女性特有の更年期障害の影響だと思われる。さらに、女性は20代後半にも男性との差が大きくなっているが、こちらはいわゆる「子育て腰痛」の可能性があろう。


(2018年7月18日収録)


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