OECDでは、先進国においても、保健医療の中で、予防医療・公衆衛生にもっと努力を払うべきだとしている(図録1950参照)。喫煙による健康被害防止や肥満予防などとともに、代表例の1つとしてあげられるのがインフルエンザ・ワクチン接種である。

 OECD Health at a Glance 2005によれば、インフルエンザに罹患する者は毎年非常に多く(米国で5〜20%)、特に高齢者の場合は合併症を伴って重篤化する場合も多い。またインフルエンザによって失われる雇用時間も馬鹿にならない程度となっており(ヨーロッパでは病欠の約10%を占める)、生産性低下のコストがフランスやドイツでは93〜141億ドルにも達すると見積もられている。

 このためインフルエンザの予防接種、特に高齢者に対する接種が望まれている。

 図にはインフルエンザ・ワクチン接種率を低い国から並べた。

 日本のインフルエンザ・ワクチン接種率は2000年代の前半には3〜4割と他国に比べてかなり遅れていたが、2017年段階では50%とOECD諸国の中では平均を上回っている。

 チリの値がかつて高かったのは毎年行われる広範な予防接種キャンペーンへの参加によるものであり、メキシコの接種率が2013年ごろには高かったのは2009年新型インフルエンザ大流行と関連した集中的なワクチン接種によるものと考えられる。

 このように、「立法を伴うこともある国民啓発プログラムによって国民の行動に変化が生じうる。オランダでは、インフルエンザや風邪のワクチンへの意識を高め、ワクチンの安全性への心配を取り除くメディア・キャンペーンの結果、2003年には、高齢者の約8割がインフルエンザに対する免疫を得ている」(OECD Health at a Glance 2005)。

 こうして、2000年代に多くの国で接種率が上昇したが、近年では、上昇する国もあり下降する国もある中で、全体的には低下している国の方が多い。その中で日本は余り低下していないので、順位は上昇したのである。

(2006年5月13日データ更新、2012年7月3日更新、2015年11月8日更新、2020年3月19日更新)


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