細菌に使用する抗微生物薬を抗菌薬(=抗生物質)という。抗菌薬が使用されると、抗菌薬の効く菌はいなくなり、AMRをもった細菌が生き残る。その後、AMRをもった細菌は体内で増殖し、ヒトや動物、環境を通じて世間に広がる。薬剤耐性菌は、特に、抗菌薬使用が不可欠な患者が多く入院する医療機関では、医療者の手指や医療器具等を介し、院内感染として拡がっていく。1980年以降、従来の抗菌薬が効かない薬剤耐性(AMR )を持つ細菌が世界中で増えてきている。 抗菌薬の不適切な使用がこうした傾向を助長している。風邪など抗菌薬が効かない感染症には使用せず、本当に必要なときに限って使うことが大切である。薬剤耐性(AMR)関するグローバルアクションプランが2015年にWHO総会で採択されている。 ここでは、OECDの報告書から2050年にかけての薬剤耐性(AMR)に起因する死亡予測の国際比較データを掲げた。 日本では毎年8千人以上、人口10万人当たり7.0人が薬剤耐性(AMR)によって亡くなると見積もられている。死亡数規模は対象32か国中、トルコ、米国に次ぐ多さであり、死亡率としては、トルコ、イタリア、ギリシャに次ぐ高さと見積もられている。 図で取り上げている32か国は、図の順に、ノルウェー、オランダ、クロアチア、フィンランド、ハンガリー、デンマーク、エストニア、スウェーデン、オーストリア、ラトビア、英国、アイスランド、ルクセンブルク、ブルガリア、フランス、アイルランド、スロベニア、チェコ、ベルギー、スペイン、リトアニア、ポーランド、ドイツ、スロバキア、ルーマニア、ポルトガル、イタリア、スイス、米国、日本、ギリシャ、トルコである。 (2024年2月26日収録)
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