医療サービスの効率化の指標として、平均入院期間(日数)がしばしば取り上げられる。長すぎる入院は診療プロセスが拙いために、リハビリや介護に移行するまでに不必要に病院で待たされていることを意味するものととらえられている。と同時に、退院が早すぎる場合もあり、そういう場合は、もっと長く在院すれば病状が改善され、再入院の可能性も減じた筈だと考えられる。

 OECD報告書の結果を見ると日韓の平均入院日数の長さが目立っている。日本の場合、対象が急性期病院の入院に限定されているにもかかわらず、16.0日と韓国の18日に次ぐ対象41か国中第2位の長さである(急性期病院だけでない全体の値では27日と世界1の長さとなる)。

 多くの国で平均入院日数は短くなってきているが、、特に、日本、フランス、フィンランド、ニュージーランド、ベルギーなどで短縮化の事例が目立っている。

 日本の場合、かなり前から、医療費膨張の抑制のため、一時期多かった「社会的入院」の弊害除去を目的に長い入院が保険点数上、不利な制度に改められ、なるべく早期に退院するように促されていることについては、体験上よく知られている状況変化である。それでもここで見ている通り、世界的にはなお日本の入院期間は長くなっているのである。

 唯一の日数増の事例である韓国の場合、ナーシングホームや介護病院と機能が類似する長期療養病院の役割が高まっているためとみられている。

 平均入院日数は、診療報酬の計算方式(一括払いや症状払いか、診療行為・サービス払いか)やプライマリーケアの発達度によって影響される。報告書によれば、オランダ、フランス、ノルウェーといったなど、最近、診療に当たる中間施設の機能や在宅医療を拡大して、病院に代わる選択肢を用意する国も多くなっているという。

 対象国はOECD諸国41カ国であり、図の順に、韓国、日本、ロシア、ハンガリー、チェコ、ポルトガル、ルクセンブルク、中国、ドイツ、フランス、オーストリア、スイス、ラトビア、イタリア、カナダ、エストニア、リトアニア、フィンランド、スロバキア、スペイン、ポーランド、ベルギー、ギリシャ、スロベニア、英国、ニュージーランド、コスタリカ、ノルウェー、アイルランド、米国、南アフリカ、チリ、コロンビア、イスラエル、アイスランド、デンマーク、スウェーデン、オーストラリア、オランダ、メキシコ、トルコである。

(2022年9月20日収録)


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