悩みやストレスの内容に入る前に、まず、そもそも悩みやストレスがあるかどうかを聞いた結果を下の方の図で見てみよう。「大いにある」と「少しはある」を合計した値では、スウェーデンが最も低い35.3%となっており、日本はこれに次ぐ51.5%である。両国に続いて、米国、韓国、フランス、ドイツと値が高まり、ドイツは70.7%となっている。日本は高齢者の悩みやストレスが、少なくとも、意識上は少ない国である。 悩みやストレスの内容については、悩みやストレスがあると答えた高齢者を対象とした回答結果が内閣府の報告書に掲載されているが、ここでは、母数を全高齢者に変換した値を掲げた。例えば、報告書によれば、「家族との人間関係」の回答率は、日本の場合、11.8%であるが、これは、悩みやストレスがあると回答した51.5%の高齢者の回答結果なので、全高齢者に占める比率に変換すると、11.8×51.5÷100=6.1%となる。つまり、高齢者のうち、6.1%の者が「家族との人間関係」で悩みやストレスを抱えているという読み取り方ができる。 悩みやストレスの内容としては、いずれの国でも、「自分の健康や病気」が最も多くなっている。例外は、スウェーデンであり、「自分の」ではなく「同居家族の」健康や病気が首位となっている。高齢者の同居家族は、夫や妻の場合がほとんどであるので、自分のことより病気の配偶者のことを思い悩んでいる場合が多いと理解できる。 日本とスウェーデンを比較すると、「同居家族の健康や病気」、「自分の介護」、「その他」の3項目を除くと、いずれも、スウェーデンの方が値が低くなっており、福祉先進国の面目躍如といったところである。 日本を、スウェーデンを除くその他4カ国とを比較すると、「その他」と「無回答」を除く11項目中、半分以上の5項目は日本の高齢者の悩みやストレスが最も小さい結果となっている。 特に、「家族との人間関係」、「生活費」、「自分の健康や病気」について、米国、韓国、ドイツ、フランスと比較して、日本の値が低い点が目立っている。「生活費」と「自分の健康や病気」については、日本の公的年金、及び健康保険に関する社会保障制度が、今のところ、他国と比較しても、円滑に機能している結果の側面が大きいと考えることができる。「家族との人間関係」についても、生活費や健康面での心配が少ないため、間接的に、良好になっている側面も大きいのではないかとも推測される。 (2014年5月20日収録)
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