魚種の数が多いのが日本漁業の特徴となっている。


 魚種別の国内生産量の推移を図示した。対象魚種は、まぐろ、びんなが、めばち、きはだ、かつお、さめ類、さけ類、ます類、にしん、まいわし、うるめいわし、かたくちいわし、しらす、まあじ、むろあじ、さば類、さんま、ぶり類、かれい類、たら、すけそうだら、ほっけ、めぬけ類、たちうお、いかなご、たい類、えび類、かに類、するめいか、たこ類、あさり類、ほたて貝、もがい、かき類、しじみである。

 日本の魚介類の生産量(漁獲高と養殖生産量の合計)は食料需給表ベースで1984年のピーク時1206万トンから2021年には377万トンへと69%の減少となっている。

 減少の主要因は魚種別の生産量の積み上げ図から明らかなとおり、まいわしとすけそうだらの漁獲量の減少である。この2魚種の減少の要因を平成9年度の漁業白書を参考に整理すると以下の通りである。

 まいわしは,資源量の変動が大きい魚種で、1960年代前半から1970年代前半にかけて資源は極めて低位の水準にあり、1965年の生産量は9千トンと戦後最低を記録した。その後、資源は急速に増加し、1988年の生産量は史上最高の449万トンを記録した。しかしながら、88年以降,資源への新たな加入が著しく低い状況が続いており、資源は再び減少し,生産量も一貫して減少が続いている。

 すけとうだらは、1972年に304万トンと生産量の最大値を記録したが,その多くは米国、旧ソ連近海で漁獲されたものであり、1977年の両国の200海里水域設定以降、我が国漁船はそれら主要漁場からの撤退を余儀なくされ、我が国全体の生産量は一貫して減少してきている。我が国近海の資源は、1950年代後半以降急速に開発され、海域ごとに大きな変動を繰り返した後、1970年代後半以降は総じて中位の水準で推移してきたが、平成以降減少に転じ、最近では総じて低位水準で横ばい傾向にあり、特に、オホーツク海南部及び日本海北部の資源は低い水準にある。このため、外国水域を含む生産量は連続して減少を続けている。

 2019年度以降、さんまの歴史的不漁が続いているが、黒潮大蛇行の影響で漁場が移動しているためだと考えられている(下図)。


 以上のように、資源量の変動に200海里水域設定の影響が加わって、魚介類の生産量の減少が生じているのである。以下に遠洋・沖合・沿岸・養殖別の漁業生産量の推移図を水産物自給率を扱った図録0312から再録した。


 なお、魚種の並び順では「まいわし」は、「にしん」の次、「うるめいわし」の前であり、「すけそうだら」は「たら」の次、「ほっけ」の前である(グラフでは下から順に並んでいる)。しかし、図では「まいわし」と「すけそうだら」を末尾に回した。これは、この2魚種を除いた生産量の推移も見ることができるようにするためである。図から明らかなとおり、2魚種以外の生産高も、1970年代後半以降、全体として漸減傾向にある。

(2004年5月26日収録、2007年5月22日更新、2013年4月29日更新、2018年5月13日更新、2021年7月11日魚種数比較、11月27日遠洋・沖合・沿岸別漁業生産量推移図、2023年6月11日更新、サンマ不漁要因図)


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