犬の仲間の大きさはさまざまである。この点を示すデータを体長と体高をそれぞれX軸、Y軸にあらわした散布図の形式で描いた。

 体長と体高はほぼ比例しているが、野生のオオカミやオーストラリアで家畜犬から野犬化したといわれるディンゴは、体長に比して体高が低いという特徴が見られる。野生で生きていくためには、その方が有利なためであろう。

 家畜犬の中で最も小さいのはチワワであり、原資料によれば、体長は15〜20cm、体高は15〜23cmしかない。図は各犬種の体長と体高のそれぞれの範囲の最大値で描いている。

 反対に最も大きい家畜犬は「優しい巨人」という異名もあるグレートデーンであり、体長は75〜90cm、体高は72〜92cmもある。グレートデーンに次いで体長が大きい犬は、体長の順に、ロシア原産で長い四肢が特徴のボルゾイ、スイス原産で雪中遭難救助犬として名高いセントバーナード、カナダ東岸のニューファンドランド島を原産地とする犬種でもとは作業犬・海難救助犬だったニューファンドランドである。

 反対に、チワワに次いで体長が小さいのは、ドイツ原産で「猿顔のテリア」という意味のアーフェンピンシャー、また、愛玩犬として人気のあるポメラニアン、そして、巣穴の中にいるアナグマを狩る目的で手足が短く改良されたダックスフントである。ダックスフントは図の中で体長と体高の比例線からやや右にずれており、体高の低さが特徴であるが、それほど比例線から外れているわけでもない。

 比例線から左へずれており、ずん胴である点で目立っているのは、キツネ狩りに特化したイングランド原産のテリア犬種であるフォックステリアである。逆に右にずれている点で目立っているのは、かつて闘犬興行にも用いられたことがあるドイツ原産の中型犬、ボクサーである。

 野生のオオカミについては保護されており、そのためスイスでは一度は国内から姿を消したが、イタリアに越境していたオオカミが徐々に増え、1995年にスイスに帰還。2019年には100匹足らずだったが、23年9月には300匹を超えた。ヒツジだけでなく牛や馬を含め家畜を襲う事例が増加し、政府は射殺を容認し、動物保護団体は猛反発する事態となっている(東京新聞、2024.2.24夕刊)。


 取り上げた犬種を体長の順に掲げるとオオカミ、ディンゴ、グレートデーン、ボルゾイ、セントバーナード、ニューファンドランド、ボクサー、ブラッドハウンド、ジャイアントシュナウツァー、ジャーマンシェパード、グレイハウンド、ポインター、ロットワイラー、コリー、エアデールテリア、ダルマニアン、プードル、アーフェンピンシャーマウンテンドッグ、コッカースパニエル、フォックステリア、イタリアングレイハウンド、ミニチュアプードル、パグ、ダックスフント、ポメラニアン、アーフェンピンシャー、チワワである。


(2019年11月3日収録、2024年2月24日欧州オオカミ分布図)


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