目盛表示は量の違いが何十倍にも及び場合にも眼に見えやすい対数目盛で示した。実際の量の感じは対数目盛を使わず表示した以下のグラフの通りである(微量元素は別目盛で表示)。 ![]() 人体の主要部分をなす水分や栄養分、タンパク質、骨、遺伝物質をつくる元素として、酸素、炭素、水素、窒素、カルシウム、リンが上位6位を占めている。 我々のからだは動物食を経由する場合もしない場合も主に栽培植物からの栄養によっているが、現代の栽培植物は肥料によって生育しているので、人体を構成する元素が肥料由来である場合も多い。 窒素肥料の製造は原料となるチリ硝石が枯渇する中、第1次世界大戦後、工場で窒素ガスをアンモニアに変える方法が主となり、今では「私たちの身体の窒素2キログラムのうち半分は化学肥料に由来している」(藤井一至「土と生命の46億年史」ブルーバックス、2024年)。一方、リン酸カルシウム肥料はモロッコや中国で見つかるクジラなどの脊椎動物の骨の化石(リン鉱石)から製造されており、「私たちの身体のリンの4割はクジラなどの骨の化石に由来している」(同上)。 この他、ある程度以上の量があり、微量元素とはいえない元素として、硫黄、カリウム、ナトリウム、塩素、マグネシウムが続いている。 海水の成分をなす元素とかなりダブっているのは、生命がそもそも海から生まれ、海を体の中に閉じ込めて身心の働きの舞台や機能部品源としたからに相違ない。 太古の海に近い濃度に薄めた海水を輸血の代替物として使うことが可能というのも同じ理由であろう。 12番目に多い鉄以下の元素は微量元素と呼ばれている。 鉄に続いて、フッ素、ケイ素、亜鉛が多くなっているが、ここまでは、すべて、人体にとって必須の元素とされる。 亜鉛の次に多いルビジウム以下の元素は、必須のものもあれば、必須のものである可能性があるもの、必須でないものもある。 鉛や銅やヒ素など微量であれば有用でも多すぎると毒になる元素も多い。 以下、各元素の存在量ランキング一覧表を掲げ、気がついたときに、人体にとってのその元素の意義についてのコメントを追加していくことにする。
(2018年4月15日収録、2025年3月14日肥料由来の元素窒素・リン)
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