人体をつくる元素は様々である。主要元素から微量元素に至る37の元素の存在量についてのランキングを図にした。
目盛表示は量の違いが何十倍にも及び場合にも眼に見えやすい対数目盛で示した。実際の量の感じは対数目盛を使わず表示した以下のグラフの通りである(微量元素は別目盛で表示)。
人体の主要部分をなす水分や栄養分、タンパク質、骨、遺伝物質をつくる元素として、酸素、炭素、水素、窒素、カルシウム、リンが上位6位を占めている。
この他、ある程度以上の量があり、微量元素とはいえない元素として、硫黄、カリウム、ナトリウム、塩素、マグネシウムが続いている。
海水の成分をなす元素とかなりダブっているのは、生命がそもそも海から生まれ、海を体の中に閉じ込めて身心の働きの舞台や機能部品源としたからに相違ない。
太古の海に近い濃度に薄めた海水を輸血の代替物として使うことが可能というのも同じ理由であろう。
12番目に多い鉄以下の元素は微量元素と呼ばれている。
鉄に続いて、フッ素、ケイ素、亜鉛が多くなっているが、ここまでは、すべて、人体にとって必須の元素とされる。
亜鉛の次に多いルビジウム以下の元素は、必須のものもあれば、必須のものである可能性があるもの、必須でないものもある。
鉛や銅やヒ素など微量であれば有用でも多すぎると毒になる元素も多い。
以下、各元素の存在量ランキング一覧表を掲げ、気がついたときに、人体にとってのその元素の意義についてのコメントを追加していくことにする。
人体に存在する元素の量
|
必須 |
元素 |
元素記号 |
人体にとっての意義 |
1 |
○ |
酸素 |
O |
水の構成元素 |
2 |
○ |
炭素 |
C |
タンパク質や炭水化物の材料 |
3 |
○ |
水素 |
H |
水の構成元素 |
4 |
○ |
窒素 |
N |
タンパク質の材料 |
5 |
○ |
カルシウム |
Ca |
骨の材料、生体反応に必須 |
6 |
○ |
リン |
P |
遺伝情報のDNA、エネルギーのATPの部品 |
7 |
○ |
硫黄 |
S |
爪などのタンパク質の材料 |
8 |
○ |
カリウム |
K |
イオンとして体内に存在 |
9 |
○ |
ナトリウム |
Na |
イオンとして体内に存在 |
10 |
○ |
塩素 |
Cl |
塩分の材料 |
11 |
○ |
マグネシウム |
Mg |
生体反応に必須 |
12 |
○ |
鉄 |
Fe |
|
13 |
○ |
フッ素 |
F |
|
14 |
○ |
ケイ素 |
Si |
|
15 |
○ |
亜鉛 |
Zn |
多くの酵素反応にかかわる。不足すると味覚異常、肝臓障害、皮膚炎、またある種の小人症 |
16 |
|
ルビジウム |
Rb |
|
17 |
△ |
ストロンチウム |
Sr |
|
18 |
△ |
鉛 |
Pb |
|
19 |
○ |
マンガン |
Mn |
|
20 |
○ |
銅 |
Cu |
|
21 |
|
アルミニウム |
Al |
|
22 |
△ |
カドミウム |
Cd |
|
23 |
|
臭素 |
Br |
|
24 |
○ |
スズ |
Sn |
|
25 |
|
バリウム |
Ba |
|
26 |
|
チタン |
Ti |
|
27 |
|
水銀 |
Hg |
|
28 |
○ |
セレン |
Se |
摂り過ぎた家畜は方向感覚を失い、不足すると成長不良・心不全 |
29 |
○ |
ヨウ素 |
I |
|
30 |
△ |
ホウ素 |
B |
|
31 |
○ |
ニッケル |
Ni |
|
32 |
○ |
モリブデン |
Mo |
|
33 |
○ |
クロム |
Cr |
|
34 |
○ |
ヒ素 |
As |
|
35 |
○ |
バナジウム |
V |
|
36 |
○ |
コバルト |
Co |
|
37 |
|
金 |
Au |
|
(注)薄青:微量元素。○:必須元素、△:必須かもしれない元素 |
(資料)小谷太郎「宇宙で一番美しい周期表入門」2007年ほか |