瀬戸市が首都圏の女性に対して行ったアンケートにより、焼きもの、陶磁器のブランドとして認知度の高いものを図に掲げた。最もよく知られている有田焼の81.6%から丹波焼の0.7%まで焼きものによっておおきな差がある。有田焼に続いて九谷焼、益子焼となっており、この3つの焼きものまでが認知度50%以上となっている。

 さらに、以下に工業統計表から都道府県別の陶磁器製造業事業所数を掲げた。事業所数としては、美濃焼の岐阜県が最も多く、伊万里・有田焼の佐賀県がこれに続いている。


 下には日本各地の焼きものについて一覧表を掲げた。また、末尾には日本の焼きもの・陶磁器の簡単な歴史年表を掲げておいた。

日本各地の焼きもの

名称 主な産地 コメント 地域団体商標





会津本郷焼 福島県会津美里町 東北最古の白磁の産地  
大堀相馬焼(おおぼりそうまやき) 福島県浪江町 表面を覆う「青ひび」と「走り駒」と呼ばれる馬の絵付けが特徴





笠間焼 茨城県笠間市、水戸市、石岡市など 関東で最古の焼き物。戦後、陶芸団地を設け県内外の作家に開放
益子焼 栃木県益子町、真岡市、市貝町など 笠間焼の技術が源流。厚手で素朴な風合い。民芸陶器の一大産地に成長  

九谷焼(くたにやき) 石川県能美市、小松市、加賀市など 江戸時代の古久谷、再興久谷から近代、現在まで鮮やかな色絵磁器に高い評価
越前焼 福井県越前町、福井市、越前市など うわぐすりを掛けずに高温で焼き締める器が伝統。陶芸村建設で産地復興  

美濃焼 岐阜県多治見市、土岐市、瑞浪市など 安土桃山時代に志野、織部、黄瀬戸などの名品を生む。みずなみ焼としてもご当地ブランドに登録
瀬戸焼 愛知県瀬戸市、尾張旭市 瀬戸染付焼と赤津焼が国の伝統的工芸品に指定
常滑焼 愛知県常滑市、知多市、半田市など 急須など原料に含まれる鉄分を赤く発色させるのが特徴
伊賀焼 三重県伊賀市、名張市 安土桃山時代に個性的な茶の湯の道具として珍重される
萬古焼(ばんこやき) 三重県四日市市、桑名市、鈴鹿市など 土鍋を中心とした耐熱陶器の産地。ご当地ブランドは四日市萬古焼  

信楽焼 滋賀県甲賀市 戦前は火鉢、現在はタヌキの置物など大物陶器が主力
京焼・清水焼 京都府京都市、宇治市、城陽市など 焼き物文化の発信地。多くの名工を輩出し技法も豊富
出石焼(いずしやき) 兵庫県豊岡市 白磁の産地。江戸時代中期に招いた有田焼の陶工が広める  
丹波焼 兵庫県篠山市、三田市、加西市 江戸時代前期の茶器類に名器。丹波立杭焼(たてくいやき)として国の伝統的工芸品に指定  

石見焼(いわみやき) 島県県江津市、浜田市、益田市など 水がめが有名。傘立てなど大型の焼き物技術を駆使した製品も  
備前焼 岡山県備前市、岡山市、瀬戸内市 茶道具が有名。うわぐすりを絵付けもしないで焼き上げる。深みのある土色が持ち味
萩焼 山口県萩市、長門市、山口市など 江戸時代初期、萩藩の御用窯が起源。簡素な形と装飾の茶器で知られる  

大谷焼(おおたにやき) 徳島県鳴門市 かめなどの大物陶器作りは2人で組んで成形する「寝ろくろ」が特徴  
砥部焼(とべやき) 愛媛県砥部町、松山市、松前町 砥石くずを原料に磁器作りが始まる。戦後、民芸調食器で四国有数の産地に  

上野焼(あがのやき) 福岡県福智町 江戸時代初期に茶陶として発展。他産地に比べ薄手のつくりが特徴
小石原焼(こいしわらやき) 福岡県東峰村 生乾きの時に文様を彫る飛びかんな、はけ目などの装飾技法が特徴
伊万里・有田焼 佐賀県伊万里市、有田町、武雄市など 国内最初の磁器産地。古伊万里、柿右衛門、鍋島などの様式が欧州で人気  
唐津焼 佐賀県唐津市、武雄市、多久市など 朝鮮半島の陶工が技術を広める。安土桃山時代に茶の湯の世界で珍重される
波佐見焼(はさみやき) 長崎県波佐見町、川棚町、東彼杵町 白い素地(きじ)に藍色で絵付けをした染付磁器の産地。厚手の食器「くらわんが碗」が有名  
三川内焼(みかわちやき) 長崎県佐世保市 「唐子(からこ)」と呼ばれる中国風の服装や髪形をした子どもの姿を描いた絵柄が特徴  
天草陶磁器 熊本県天草市、上天草市、苓北町 伊万里・有田焼に次いで古い磁器産地。江戸時代、各村の庄屋が村の自活の道を焼き物に求めた  
小代焼(しょうだいやき) 熊本県荒尾市、熊本市、宇城市など 上野焼(あがのやき)の流れをくむ。うわぐすりの調合割合、焼成温度の変化などで青・黄・白と微妙な発色技法が特徴  
小鹿田焼(おんたやき) 大分県日田市 小石原焼(こいしわらやき)が源流。川の流れを利用して陶器を砕く木製の唐臼など、江戸時代の技法を受け継ぐ
薩摩焼 鹿児島県日置市、鹿児島市、指宿市など 窯元は県内全域に。幕末期、島津藩がパリ万博に単独出品して注目される

壺屋焼(つぼややき) 沖縄県那覇市、恩納村、読谷村 絵付けを施す「上焼(じょうやち)」とうわぐすりを使わない「荒焼(あらやち)」に大別。多くの民家に飾られている獅子像の「シーサー」は荒焼の代表格
(注)国の伝統的工芸品に指定されている陶磁器、特許庁に地域団体商標(ご当地ブランド)を登録している陶磁器。愛知県の伝統的工芸品の赤津焼と瀬戸染付焼は瀬戸焼とした
(資料)東京新聞大図解「焼き物のふるさと」(2012.9.2)

焼きもの年表
時代 事象 備考
平安時代後期〜鎌倉時代 常滑焼など六古窯が始まる 日本古来の陶磁器窯のうち、朝鮮半島や中国からの渡来人の技術によって開始された近世からの窯とは区別される中世から現在まで生産が続く代表的な六つの窯、すなわち越前焼、備前焼、瀬戸焼、丹波焼、常滑焼、信楽焼が日本六古窯(にほんろっこよう)と呼ばれる。
安土桃山時代 茶の湯が流行。綾部、志野など独創的な焼き物が誕生  
16世紀 二度の朝鮮出兵で多くの陶工が連れてこられ、唐津などで作陶を始める 佐賀藩(鍋島藩)の藩祖鍋島直茂が連行した陶工によって有田焼が始められた。
1610年代 有田で国内初の磁器生産が始まる 中国では後漢の時代から磁器が本格的に生産されていたが、日本では中世までのやきものは陶器であり、磁器は輸入品に頼っていた。
明治初期 焼き物が輸出産業の花形に 輸出品ベストテンには常に入っていたが輸出総額に占めるシェアは1875〜95年平均で1.7%であり、生糸36.5%、茶16.3%、米5.4%、水産物5.1%と比較して小さかった(図録4750参照)
昭和初期 無名の職人による実用品に美を見いだす「民芸運動」が陶芸界にも広がる  
1953年 板谷波山(いたやはざん)(茨城県出身)が陶芸家として初の文化勲章受章  
(資料)同上

(2012年10月6日収録)


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