日本人の体格が戦後大きく改善し、平均身長もかなり高くなったと感じている人は多かろう。下の写真の大リーグホームラン王の大谷選手は身長193cmであり、妻であることが明らかとなった元バスケ選手田中真美子さんは180cmと伝えられる。いずれも日本人の平均よりは高いが、以前だったらまずありえない身長だったろう。ここでは、成人の平均身長と平均体重の戦後の推移を30歳代の男女に代表させて示すこととする。


 戦前からの推移、あるいは縄文時代からの推移は図録2182a参照。また、19世紀からの世界と比較した長期推移については図録2195、戦前からの学校児童・生徒の平均身長の長期推移については、図録2180参照。

 国民健康・栄養調査による計測値では、男の平均身長は、1950年の160.3pから2010年の171.5pへと10p以上、7.0%の伸びである。平均身長がこの間一貫して伸びている姿が印象的である。一方、女性の平均身長も、同時期に、148.9pから158.3pへとやはりほぼ10p、6.3%の伸びであり、男と同様、一貫して伸びている。

 平均体重の方はというと、やはり増加傾向にあるが、男女に違いがある。

 男は身長以上に体重の増が著しい。1950年から2010年への増加率は25.9%の伸びと身長の3倍以上の増加率となっているのである。一方、女性の方は、体重の増加率は身長の増加率よりやや高い程度である。特に、1970年代以降は、身長は伸び続けているのに、体重の増加率はかなり小さくなり、近年はほぼ横ばいといってもよい。

 すなわち男性は肥満の方向に向かっている一方で女性はスリム化しているのである。もっとも体重の動きは年齢による差が大きく、ここでは示していないが40歳以上では、背とともに増加傾向が続いている。

 肥満かスリム(あるいは痩せ)かを示す体格指数BMIの推移を男女別年齢別に図録2200に示し、20歳代に続いて30歳代の女性も痩せに向かっている点をみたが、身長と体重の動きでみるとこの図の通り、身長が伸び、体重が横ばいの結果なのである。

 もっとも、戦後一貫して変化してきた以上のような傾向は2005年前後に止まったようである。最近は、男女ともに、身長、体重が、毎年の変動はあるものの、ほぼ横ばいに転じたようである。

 国民健康・栄養調査がやはり毎年調べている摂取カロリーは1970年台前半にピークに達し、それ以後、低下傾向に転じている(図録0202予定)。どこまで大きな体格になるかは年少期の栄養状態が大きく影響すると考えられる。2005年の30歳代が生れたのは1964〜1975年である。この頃の栄養摂取レベルが現在の体格の基礎になっているとすると、この頃はちょうど栄養増加のピークに達した頃であり帳尻が合う。

 下に年齢別の男性平均身長の伸びのグラフを掲げた。栄養摂取のピークが影響を及ぼす時期が世代によってずれていることが分かる。20代では30代よりかなり以前から身長が横ばいとなっており、30代は少し遅れて横ばいに転じ、40代以降ではなお身長が伸び続けているのである。


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(2009年5月11日収録、10月15日歴史的推移を追加、2010年8月2日更新、2012年9月4日コメント追加、2013年1月5日更新、5月27日戦前からの図を追加、2015年2月24日日本人の身長の超長期変化(その2)追加、7月9日超長期変化について片山引用追加、8月18日更新、年齢別の男性平均身長の伸びのグラフ追加、11月17日縄文人短足報道、2018年4月10日更新、戦前あるいは縄文時代からの推移は図録2182aとして独立、2020年4月18日更新、12月30日更新、2024年3月15日大谷選手ら画像)


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