図録7900と図録8000で韓国に対して親しみを感じる人の割合の動きを、米国、中国などと比較して示したが、ここでは、韓国について、年齢別に親しみを感じる人の割合がどう推移しているかを見た。資料は内閣府の「外交に関する世論調査」である。

 全体として、韓国への親しみが大きく上昇し、その後、日韓関係の悪化に伴い低下したが、年齢別に見ると、20代、30代の若者と40代、50代の中年層、及び60歳以上の高齢層とで、やや動きを異にしている。

 若者層は2002年のワールドカップ日韓共同開催を契機に大きく親しみを感じる者が増加したが、2005年の日韓関係の悪化により、2005年、2006年にかけて、大きく親しみを感じる者が減った。このため、一時期は若者層が韓国に親しみを感じる比率は平均を大きく上回っていたが、2006年には、40歳代が最も親しみを感じる世代となった。ところが2007年には、再度、若者の人気はV字回復し、20代、30代の値は過去最高となった。2007年に行われた朝鮮通信使400周年記念事業の影響もあるかも知れない(図録3999参照)。2008年は韓国側で日本の文科省の学習指導要領解説書への竹島明記(7月)から竹島問題が起こり、若者層はこれに反発して好感度は低下している。

 40〜50代の中年層は、ワールドカップというより、2004年の韓流ブームで、若者層にやや遅れて、親しみを感じる人が増えた。その後、2005年の関係悪化に伴い若者層と同様に親しみを感じる層が急激に少なくなったが、2006年には、なお韓国ドラマは放映中であり、また調査が実施されていたさなか、安倍首相が首相就任直後に中韓訪問(10月8日〜9日)を行って関係改善に乗り出したことも影響して、親しみを感じる人が回復している。2007年も若者ほどでないが回復傾向にある。2008年は若者は竹島問題への韓国側反発に反発して低下したが、李明博大統領の日本訪問もあってか中年層の好感度はむしろ上昇している。2009年も中年層の韓国への親しみは上昇し、特に50代では若者層をかなり上回る結果となっている。2009年には景気低迷、新型インフルエンザの影響で全体として日本人の海外旅行が減少する中で、安・近・短志向、あるいは前年に比べ円に対して3割ほどのウォン安のメリットで、韓国への観光・買物ツアーが増加している影響もあるかも知れない。

 2010〜11年では30代、40代の上昇が目立っている。韓国旅行ブームやK-POPブームの影響もあろう。

 60歳以上の日本人は、終戦後の記憶が根強いせいか(図録8857)、もともと親しみを感じる人は若者や中年層に比較して少なく、ワールドカップや韓流ブームの影響も限定的であった。ところが最近、中年層に続いて親しみをもつ者が増加している(2009年の上昇はやや異例)。韓国への親近感は全国民化したともいえよう。

 2012年には8月に李明博大統領による天皇の反日独立運動家への謝罪要求(訪日の条件として)及び島根県・竹島への上陸という任期末期のスタンドプレーがあったため日本人の韓国に対する親近感も2012〜13年には各世代で大きく落ち込んだ。2013年12月に安倍首相が靖国参拝を行ったのを受けて、2014年も、朴槿恵(パククネ)大統領による従軍慰安婦問題でのかたくな態度、あるいは産経新聞ソウル支局長が書いた大統領記事についての在宅起訴などによって日韓関係がさらに悪化。これを反映して親しみは過去最低にまで低下した。年代別には中高年の落ち込みが激しく、若い層は中高年と比較するとそれほどの落ち込みではなかった。

 これまで若者層と中年層との動きの違いからは、若者層がナショナリズム的な感情に大きく動かされている様子を見てとることが可能であったが、2012〜14年の状況はやや異なっている。

 2015年の12月に慰安婦問題で日韓が合意したが、影響は限定的であるようだ。30代と70歳以上ではやや回復したが、20代では、むしろ、大きく落ち込んでいる。2016年11月には全般的に持ち直しの状況である。

 2016年後半以降は20代〜30代はそれ以上の年齢層とは対照的に上昇の傾向である。

 しかし、その後、徴用工問題からはじまった日韓関係の悪化が影響して、2019年には、年齢にかかわらず落ち込んでいるのが目立っている。ただし、年齢別のばらつきの推移を変動係数(標準偏差÷平均)で計算してみると、下図のように、全般に落ち込む中でも2014年と同じように年齢差はなお大きくなっていることが分かる。つまり、日韓関係の悪化に中高年が敏感に反応するほどには若者は気にしていないことがうかがわれる。

 2022年には韓国で5月に前政権の対日政策を見直すとしたユン・ソンニョル大統領が就任し、すべての年齢層で親しみの値は回復し、30歳未満では過去2番目の高さとなった。2023年も改善傾向が続き、特に30歳未満では過去最高となっているのが目立ている。また変動係数でみても年齢差は縮まった。


(2006年12月11日収録、2007年12月3日更新、2008年12月8日更新、2009年12月21日更新、2010年12月20日更新、2011年12月5日更新、2012年11月26日更新、2013年11月25日更新、2014年12月22日更新、2016年3月14日更新、2017年1月7日更新、12月26日更新、2018年12月23日更新、2019年12月21日更新、2021年2月20日更新、2022年1月22日更新、2023年3月16日更新、2024年1月30日更新)


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