日本の歴代首相の内閣支持率の推移や参考として英国の内閣支持率推移については図録5236aに掲げたが、ここでは、米国におけるジョージ・W・ブッシュ大統領以降、バイデン現大統領までの大統領支持率の推移を追った。

 ワシントン初代大統領以来の歴代大統領のランキングは図録8750参照。

 政権トップとしての登場当初高かった支持率が任期中にさまざまな出来事が起こり、基本的には、支持率も低下していくというのは、いずこの民主主義国も同じと見なせよう。もちろん、ここで掲げたブッシュ、オバマ、トランプ、バイデンといった4人の大統領の中でもオバマ大統領の支持率は一度下がって、退任に向かってまた上がるという例外的な推移を示しており、いつも法則通りというわけではない。

 なお、日本や英国のような議院内閣制の国と異なり、大統領制の米国では支持率が下がったからと言って大統領が任期途中で辞任することはない。

 81歳と高齢のバイデン現大統領が支持率低迷にあえいでいることは図から明らかであろう。2024年は大統領選の年であり、人気絶大な大統領候補が出ないまま、不人気がどっこいどっこいのバイデン候補とトランプ候補の泥仕合になれば、それに伴って米国国内の分断が激しくなることが避けられず、これが同年最大の国際情勢上のリスクだと予想する米国の調査会社もあった(NHK記事)。

 米国大統領は国内政治を二分している民主党と共和党が交互に務める傾向があり、前任者の支持率が後任者の支持率に影響を与える。ブッシュ大統領末期の低い支持率がオバマ大統領就任時の高い支持率にむすびついてのがよい例である。バイデン大統領の当初の高い支持率もトランプ政権末期の低い支持率の反動という面がある。

 そうだとするとオバマ大統領の政権末期の高い支持率から判断して、オバマ大統領が後任として応援したヒラリー・クリントン候補が当選していてもおかしくなかったが(実際、事前の世論調査などによる予想では彼女が有利だった)、トランプ候補にギリギリで負けたのは、やはり女性候補だったからなのかもしれないと思わせる(注)。トランプ候補に人気があって負けたわけではないことは、普通高いはずの就任当時の支持率がトランプ大統領の場合、異例に低かったことからもうかがえる。

(注)ヒラリー・クリントン候補が敗北宣言で負けた一因は女性だったからとして次にように述べたのは有名である。「私たちはいまだ、あの高いガラス天井を打ち砕くことができていません。しかし、きっと誰かが、いつの日か、私たちが思うよりも早く叶えてくれることでしょう(I know that we still have not shattered that highest glass ceiling. But some day someone will?hopefully sooner than we might think right now.)」。

 支持率のアップダウンがこれほど絵に描いたように明らかな例もあるかと思われせるのはブッシュ大統領のケースである。これについてやや詳しく見てみよう。

 ジョージ・W・ブッシュ大統領は大統領就任後50%そこそこの支持率であり、親の七光的なそれほど人気のない大統領としてはじまったが、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件を受け、世界的な「テロとの戦い」を発表し、米国国民の一致団結をあらわすかのように、ギャラップ調査の支持率は同時多発テロ事件後、歴代の米国大統領の中で最高値と言われる91パーセントにまで達した。ここで掲げたピューリサーチセンターの調査でも同年9月末には86%のピークを記録している。

 その後、2002年1月、一般教書演説において「悪の枢軸」発言を行い、さらに2003年3月、ブッシュ・チェイニー政権は、大量破壊兵器を保有しているとして、イラク戦争に臨み、独裁者であるサッダーム・フセイン政権の打倒・排除に成功した。イラク戦開始の際にも支持率は急騰している。作戦は順調に進み、5月1日には「大規模戦闘の終結宣言」を行ったが、これについてイラク側との協定は無く、実際にはまだ戦時中であった(注)

(注)個人的な回想では、この時に日本軍とのミズーリ号での降伏文書調印のような相手側との集団意思の確認を行わなかったことが、その後の中東情勢の混迷の一因となったという印象をもっている。戦後処理のことを考えないなんて米軍やブッシュはそれほど馬鹿なのかという感想をその時にもったことを思い出す。

 同年12月にはフセインの逮捕に成功し、占領政策も順調に行われているように見えたが、実際は米軍を狙った攻撃や自爆テロが絶えず、死者は湾岸戦争の1000名を上回ることとなった。また、イラクが隠し持っていると主張していた大量破壊兵器が一向に見つからず、イラク戦争に対し国民は懐疑的になっていき、支持率も大きく下がっていった。

 2005年8月のハリケーン・カトリーナへの対応の不手際なども重なり、ギャラップ社調査の支持率は2008年2月20日には記録に残る中で最も低い現職米国大統領支持率となる19%にまで低下した。ここで掲げたピューリサーチセンター調査でも10月末に22%の最低値を記録している。

 ブッシュ以降のオバマ、トランプ、そしてバイデンの各大統領の支持率の変動には、それなりの様々な事情が影響していることは確かであろうが、ここではさしあたりコメントを省略しておく。

(2024年1月12日収録、2月2日更新)


[ 本図録と関連するコンテンツ ]



関連図録リスト
分野 地域(海外)
テーマ  
情報提供 図書案内
アマゾン検索

 

(ここからの購入による紹介料がサイト支援につながります。是非ご協力下さい)