貿易収支には含まれない国を越えた特許やライセンスなどの取引を技術貿易といい、貿易収支と同じように、対価の受取(技術輸出)から支払(技術輸入)を引いた額を技術貿易収支と呼ぶ。

 日本の技術貿易収支の動向については、アジアへの輸出超を欧米への輸入超が上回って、1980年代までは、全体として赤字だったのが、現在では、アジアだけでなく、欧米に対しても、輸出超となっている。この点については、図録5920でふれた。

 ここでは、各国レベルで、技術貿易の輸出入の状況がどうなっているかを図示した。

 まず、2015年度に、デンマークを除くすべての国との間で、日本の技術貿易収支は黒字となっている点が目立っている。10年前の2005年度では、デンマークのほか、スイスやスウェーデンとの間でも輸入超だったのが、今は、デンマークとの間だけとなった。日本の技術力はそれだけ高まっているといえよう。

 第2に、日本の技術貿易の最大の相手国は米国である点が目立っている。技術輸出では2位の中国の3.4倍となっているが、さらに、技術輸入では2位の15.5倍と圧倒的である。なお、この10年の米国との間の技術貿易の変化を見ると、技術輸出は1.8倍と大きく増大しているのに対して、技術輸入は0.8倍とむしろ縮小している。こうした米国との関係の動向にも日本の技術優位性の向上が認められる。

 第3に、技術輸出の相手国の状況では、米国のほか、中国、タイをはじめとするアジア諸国への輸出が大きく伸びている。欧州については英国への輸出が大きく伸びている(英国のEU離脱はこの点で日本にとって大きな問題である)。日本からの企業進出の進展が背景にあることはいうまでもない(日本企業の海外進出については図録52705280参照)。

(2017年6月12日更新)


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