もっとも軽い硬貨はアルミニウムでできた1円硬貨であり、重さは丁度1g、価値は1円なので1g1円の単価である。ものの価値をあらわす1g1円理論については図録0219参照。 もっとも重い硬貨はニッケル黄銅でできていて大きさももっとも大きい500円硬貨であり、重さは7g、1g単価は71円である。この単価は牛肉の2倍以上、貴金属では金よりはずっと安くほぼ銀に匹敵する(図録0219、図録4716参照)。 価値の高い順に重たくなっているのが原則であるが、例外として、50円硬貨は10円硬貨の5倍の価値をもつが重さは10円硬貨より軽い。何か50円硬貨というのは存在感の薄い印象があるのはこのせいであろう。 なお、硬貨での支払いは20枚までなら拒否できない。財務省のHPでは、「お金には使用できる枚数の制限はありますか」という問いにこう答えている。 「日本銀行券(いわゆる紙幣、お札)は、「日本銀行法」第46条第2項で「無制限に通用する」と規定されています。一方、貨幣(いわゆる硬貨)は、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第7条で「額面価格の20倍まで」を限度として通用することと規定されています。つまり、20枚までは貨幣による支払いが行っても良いということです。これは、貨幣は、小額な取引きに適しているものの、あまりに多くの数が使用された場合、保管や計算などに手間を要し、社会通念上、不便となることから、上限を設けています。ただし、取引の相手方の了解が得られるならば、それを妨げるものではありません」。 1円玉は消費税の導入後は、端数の釣り銭としての需要が大きかったが、スイカなど電子マネーの普及により、だんだんと需要は縮小している。支払いに手間がかかりすぎるという問題に加えて、1円玉を製造するのに1円以上かかるようになって、「廃止論」を唱える専門家もいる。最小単位の硬貨が同様な状況にあるオーストラリア、ニュージーランド、カナダでは1セント硬貨が廃止され、端数は切り捨てや切り上げで処理されている。ただし、米国ではコストの面から1セント硬貨不要論があるものの、「愛着がある」として存続を望む声が根強く、結論は出ていないという(東京新聞2019年10月2日)。「1銭を笑うものは1銭に泣く」ということわざが分からなるのではないかという廃止によるマイナスの教育効果を懸念する声もあるようだ。 なお、こうした現金支払いを拒めないという現金の強制通用力は完全キャッシュレス店舗でも有効なのであろうか。然りである。ただし、店と客との間で売買を現金以外でするという合意(契約)があれば別である。事後的に現金はダメということはできないのである。米国では低所得者差別・人種差別の回避や個人情報保護の観点から完全キャッシュレス販売を違法としている自治体もあるらしいが、私は、同趣旨で日本でも完全キャッシュレス販売を禁止すべきではないかと思っている。
(2013年3月4日収録、2019年9月18日硬貨の強制通用枚数、10月2日1円玉廃止論について、10月23日完全キャッシュレス店舗は違法か)
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