泥炭(Peat)は石炭の成長過程の最初の段階にあると考えられており、植物遺骸などの有機物の堆積する速度が、堆積した場所にいる微生物などが有機物を分解する速度を上回った時に泥炭が形成される。

 泥炭は、炭素の含有率が低く(不純物が多く)、含水量も多い質の悪い燃料である。このため、日本では工業用燃料としての需要は少ないが、第二次世界大戦末期には貴重な燃料として使われた。またスコットランドではスコッチ・ウイスキーの製造で大麦を発芽させて麦芽にした後、麦芽の成長を止めるために乾燥させる際の燃料として、香り付けを兼ねて使用される。この時つく香気をピート香と言う。

 泥炭が蓄積した湿地帯を泥炭地と呼ぶが、主に気温の低い涼しい気候の沼地で、植物の遺骸が十分分解されずに堆積して、濃縮されただけの状態で形成される。日本では主に北海道地方を中心に北日本に多く分布する。泥炭は寒暖の差に関係なく形成され、有機物の堆積速度の速い熱帯地域では木質遺骸(トロピカルピートと呼ばれている)によって形成される場合も少なくない(以上、ウィキペディアによる)。

 図録には世界の泥炭地を示した。泥炭地の多くは北半球の高緯度地域に分布しているが、熱帯地方にも分布エリアが広がっていることが分かる。

 アイスランドでは、壁は伝統的に泥炭と土の固まりからなり、そこに草が植えられていたという(図録9443)。

 本図録の原資料であるOECDの2023年の報告書は泥炭地と山火事の関係について以下のように述べている。

「泥炭地(Peatland)の水分排出(drainage)は、乾いた泥炭が燃えやすいことから、山火事の発生とそのインパクトの拡大とむすびつく。泥炭地は世界的には北半球にほとんどが集中している。最近、平均して世界の泥炭地の約12%で水分が縮小し、環境悪化が起こっている(国連環境計画UNEP2022)。泥炭地において縮小した水分レベルは山火事の発生率と甚大化を高め、大規模な噴煙の発生と炭素ロスにつながっている。このことは、例えば、低水位が発生と規模拡大にむすびついた点で2015年に起こったインドネシアの山火事においても観察された。泥炭地の火災は、また、ほとんどの場合、地下で燃焼するので、特に消火が困難である」。

(2023年8月15日収録)


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