リカレント教育(成人学習adult learning、以下原資料に合わせこちらの用語を使用する)は、成人の自己実現や生きがいに寄与するとともに、技術変化の激しい時代にはますます社会経済的な重要性を増しつつある。子供時代に学校で習ったことは大人になって通用しないことも多くなるからである。パソコンのない時代に子どもだった人間は大人になってからパソコンを学ぶしかないのである。

 ここでは、この点を各国別の成人学習参加率の男女差から探ってみよう。

 データの原資料であるOECDの報告書は、成人学習への参加率の男女差は1.1%ポイント男性プラスに過ぎず、余り違いはないが、個別の国ごとに見るとかなりの差があると述べている。

 OECD諸国を対象としたこのグラフを見れば分かる通り、成人学習への参加率は国により20〜80%と大きく異なるが、確かに男女差はそれほど大きくない。

 ただし、成人教育のさかんな国ほど男女差は小さいか、むしろ女性の方が男性より参加率が高くなっており、低調な国では女性が下回る男女差が大きい傾向が認められる。

 すなわち、フィンランド、スウェーデンといった国では女性の方が男性を上回っている国では成人教育への参加率が高く、逆に、男性が女性を上回る程度の大きなトルコ、韓国、チリといった国では全体として成人教育が不調な部類に属するのである。

 日本は後者の部類に入っている。成人教育への参加率は日本の場合、男性が49.6%と女性の37.5%を12.1%ポイント上回っており、この差は対象31か国のうちトルコに次ぐ大きさなのである。

 技術変化の激しい時代に適応していくためにはこうした状況は打破していく必要があろう。OECDの報告書はそのための方策として次のように述べている。

「OECDの成人スキル調査によれば、女性は、成人の教育・訓練への参加のバリアとして、家庭での責任や費用をあげる傾向があったとしている。学習コースを短期間にしたり、オンライン学習の可能性を開いたり、訓練の費用を補助したりすることによって、時間や資源の制約からうまれるバリアを低くし、女性の訓練参加を、特に学歴が低く低賃金の女性に対して、促進する効果が期待できよう」(OECD, Joining Forces for Gender Equality, 2023, p.132)。

 対象31カ国を図の順に掲げると、トルコ、ギリシャ、イタリア、メキシコ、スロバキア、日本、フランス、リトアニア、ポーランド、ハンガリー、チェコ、韓国、チリ、オーストリア、フランダース、ドイツ、スペイン、スロベニア、アイルランド、イスラエル、オーストラリア、エストニア、英国、カナダ、米国、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、ニュージーランド、フィンランドである。

(2023年10月23日収録)


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