移民のとらえ方としては、日本のように「外国人」foreigner(つまり日本国籍を有さない者)としてしか認識しない国もあるが、それは少数派であり、一般には「外国生まれ」foreign-bornとされている。国勢調査や人口調査などで出生国について調べられており、その結果、移民人数がかなり明確に把握されている場合が多いのである。

 主要国の移民比率の推移をあらわした図録1171も基本的に「外国生まれ」の定義によっている。

 外国人というとらえ方は、むしろ、差別的だとして、米国では1950年以降国勢調査では国籍設問がなく、2020年調査で国籍を聞く設問をトランプ政権が設けようとしたのを最高裁が禁止したというような例もある。

 移民を外国生まれと定義すると、当然、移民の中には移民先の国の市民権(国籍)を取得した者(帰化した者:naturalized people)と取得していない者とが併存することとなる。当図録では、OECD高所得国に関して、帰化と非帰化の割合を図示した。なお、EUの市民権を有すればほとんど当該国の国籍を有するのと同じ法的な待遇となるEU諸国では、「EU内からの移民」を別建てで構成比を示している。

 日本もOECD高所得国であるが、そもそも移民人口がとらえられていないため図には登場しない。日本人は日本人であるかどうかに関して出生国を重視する(図録9474参照)。ところが、日本では出生国はどこであっても帰化してしまえば同じ日本人として処遇するというタテマエからか国勢調査でも米国とは逆に国籍は調べても出生国は調べていない。

 帰化した移民が最も多いのはカナダの80%であり、スイスの69%、オーストラリア、ニュージーランドの63%がこれに次いでいる。米国も54%と過半数となっている。

 逆に、帰化していない移民が最も多いのは、ポルトガルの67%であり、フランスの56%、スペインの54%、スウェーデンの52%がこれに次いでいる。

 一見、帰化している移民が多ければ、その国に溶け込んでいる移民が多いということから文化的摩擦などの移民問題は小さくなるかに思われる。

 しかし、帰化していても独自の民族コミュニティを維持し、従来からの国民との間で、あるいは異なる民族グループの間で相互不信による紛争が絶えない状況が続いている。例えば、米国ではかつて国内の多民族状況について「人種のるつぼ」という言葉が一般的だったが、今では「人種のサラダボール」と称されるようになっている。

 こうした状況の中、かつて支配的だった優勢民族への同化政策が受け入れられなくなっていることから、各国は、多文化共生、ダイバーシティ政策へと転換して国内融和を図っているが、それが掛け声ばかりとなっているケースも多いだろう。

 取り上げた国は16カ国であり、具体的には、図の順(ABC順)に、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、米国である。

(2023年9月23日収録)


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