こんにゃく入りゼリーによって幼児や高齢者の窒息死亡事故が1995年以降17件にのぼっており社会問題となっている。

 ここでは食品による窒息事故について、消防本部と救急救命センターに対して行われた調査結果から、窒息事故の原因となった食品についての集計結果をグラフにした。

 両調査とのもちによる事故が最も多く、米飯やパンによる事故がこれに続いている。こんにゃくゼリーが該当するカップ入りゼリーは、消防調査で8件、救急救命センター調査で3件となっている。

 もちや米飯、パン、魚介類、肉類等でのどを詰まらせる事故と比べるとこんにゃくゼリーの事故は少ないが、伝統食品の場合は、消費者の方に責任があるとされるのに対して、食品メーカーが新たにつくりだした開発製品に関しては、食べたときの危険性やリスクについての知識が充分でない場合が多く、食品メーカーの責任が大きいと言えよう。

 なお、調査を行った厚生労働省の研究では、餅の温度低下や「カップ入りゼリー」の冷温保存が、咀嚼機能の未熟あるいは低下した者の場合、窒息の1要因となることが示されている。

 食品衛生法は含有成分に関する食品安全については規定しているものの物理的形状等に関する安全性については規制しておらず、表示に関しても同様の状況にある。

 こんにゃくゼリーのメーカーも法律には違反しておらず、なぜもちのメーカーは批判されないのに自分たちだけ責任を問われるのだろうかという感覚を拭えないのではないかと推測する。このため、また法律に基づく行政の有効な防止のための規制がないため、死亡例が相次いで社会問題となっているにもかかわらず、周知・表示の強化以上の抜本的な対策が遅れるのだと思われる。新規食品の場合についての新規の規制、立法、あるいは、一般的に、省庁の規制のすきまにも対応できる消費者庁のような行政権限の新設が必要だと思われる。

(2008年10月13日収録)


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