(注)インスタントラーメン略史については図録5362参照。 ここでは、世界の主要消費国における即席麺(インスタントラーメン)の消費量、及び人口1人当たりの消費量をグラフにした。データは世界ラーメン協会HPによる。 2012年に1,018億食とついに1千食を越えた。2008〜09年には世界不況の影響で920億食台に落ち込み、停滞したが、その後回復し、1千億食の予想は4年遅れで達成された。2013年にはさらに1,060億食と増加したが、この年をピークに2016年の975億食へと3年連続で減少した。 その後、2017年には再度回復し1千億食を越え、2018年にも伸びている。 消費量全体では、中国が402億食と世界全体の4割を占め最も多く、次ぎにインドネシアの125億食が続いている。日本は世界第4位の58億食である。 一方、人口1人当たりでは、韓国が74.7食と最も多く、ベトナム、ネパール、タイ、インドネシアがこれに続いており、日本は45食で世界第6位である。 日本で開発された即席麺(インスタントラーメン)はいまや世界、アジアの食として普及・定着するに至っている。 一昨年まで3年連続で世界の消費量が減少したのは、中国、インドネシアといった多消費国で減少幅が大きかったためである。毎日新聞(2017.7.1)によれば、減少の要因としては、@体に良くないという悪印象、A中国経済の不振にともない、根強い顧客だった出稼ぎ労働者が減少、B都市部を中心に発達し始めた宅配システムとの競合(中国、ベトナム)が挙げられている。 逆に、日本では、需要はむしろ伸びている。「日本では食の多様化が進んだ00年代に需要増が止まり、停滞局面に入った。しかし、各社は消費者の健康意識の高まりを逆手に取り、脂質や塩分をカットした商品を投入。マイナスイメージをはね返してきた。(中略)手軽で安価な食べ物から、健康的でおしゃれな食べ物に--。日本の新たなトレンドを海外に広め、「国際食」の意地を見せることができるか」(同紙)が問われているという。 ![]() 各国における即席麺の特徴は以下の表の通りである。
世界一の消費国韓国では、インスタントラーメンはラーミョンという名で親しまれている(普通のラーメンは生ラーミョンという)。ラーミョンは日本メーカーの協力で韓国で開発された(図録0331)。ラーミョンは韓国において高度成長とともに工事現場や軍隊の間食、学生の夜食などの簡便食として普及したが、いまではトウガラシ味インスタントラーメンが開発されたほか、韓国式ファーストフード店である粉食(プンシク)店のメニューとして、またブデチゲ(部隊チゲなる軍隊・闇市で考案されたというハム・ソーセージなども入れる闇鍋風のチゲ鍋)の最後に必ず入れて調理する食材としても利用されるなど応用範囲が広い食べ物となっている(図録8885、8890参照)。
即席麺の歴史については、上記図録0331のほか、図録5362(主なロングセラー食品)も参照。 図録0432ではナットウ類(大豆加工品)のアジア圏内における普及をインスタントラーメンの普及と比較したので参照されたい。
(2008年4月28日収録、2010年1月30日更新、4月30日更新、2011年7月16日更新、2012年6月14日更新、2013年4月28日更新、5月16日世界推移図追加、9月15日メキシコ事情追加、10月7日ベトナム事情追加、2014年5月16日更新、2015年5月22日更新、2016年5月15日更新、2017年7月2日更新、2018年5月23日更新、2019年6月10日更新)
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