EUは域内の79都市に対して、都市の住みよさなどを訊く生活意識調査を実施している。その中で、外国人の存在について好ましいと考えている住民の割合をグラフにした。値は、The presence of foreigners is good for [CITY NAME]. に対して同意する( 'Agree')者の割合である。

 なお、パリなど大都市については都市単体と都市周辺部まで含んだ都市圏の両方が集計されているが、ここでは都市圏だけを取り上げた。また2015年の調査は5〜6月に実施されており、同年後半に深刻化したシリア難民問題、あるいはパリの同時多発テロ事件(2015年11月)やベルギーのブリュッセルで起きた連続テロ事件(2016年3月)の影響はない調査である点を踏まえておく必要がある。

 ヨーロッパでは、住民の8〜9割が外国人の存在を好ましいとしている都市が多い中で、イタリアやギリシャ、トルコでは同割合が5割を切る都市もある。

 下表で外国人の存在を好ましいとする割合の低い都市と2012年から2015年にかけて外国人観が悪化した都市を整理した。

 2015年段階で外国人観が良くない都市は、イタリアやギリシャ、トルコ地中海沿岸の諸都市に多くなっている。イタリアにおける移民中国人への反感については図録8192参照。

 2012年から2015年にかけての3年間に外国人観が悪化した都市としては、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、トルコなど東欧諸国が目立っている。

良くない外国人観の都市(2015年)
好感度50%以下 好感度50%超60%以下
ボローニャ(イタリア)
ローマ(  〃  )
トリノ(  〃  )
アテネ圏(ギリシャ )
アンカラ(トルコ)
イスタンブール( 〃 )
リール(フランス)
マルセイユ(  〃  )
ナポリ(イタリア )
パレルモ(  〃  )
ベローナ(  〃  )
バレッタ(マルタ)
リエージュ(ベルギー)
オストラバ(チェコ)
ソフィア(ブルガリア )
レフコシア(キプロス共和国)

外国人観が悪化した都市(2012年から15年にかけて好感度10%ポイント以上減少)
パレルモ(イタリア )
ワルシャワ(ポーランド )
ブラチスラバ(スロバキア)
コシツェ(  〃  )
リュブニャナ(スロベニア)
ソフィア(ブルガリア )
アンカラ(トルコ)
イスタンブール( 〃 )

取り上げた79都市・都市圏は、以下である。ブラガ(ポルトガル)、リスボン圏(〃)、バルセロナ(スペイン)、マドリード(〃)、マラガ(〃)、オビエド(〃)、ボルドー(フランス)、リール(〃)、マルセイユ(〃)、レンヌ(〃)、ストラスブール(〃)、パリ圏(〃)、ジュネーブ(スイス)、チューリヒ(〃)、ボローニャ(イタリア)、ナポリ(〃)、パレルモ(〃)、ローマ(〃)、トリノ(〃)、ベローナ(〃)、バレッタ(マルタ)、レイキャビク(アイスランド)、ダブリン(アイルランド)、ベルファスト(英国)、カーディフ(〃)、グラスゴー(〃)、ロンドン(〃)、ニューカッスル(〃)、マンチェスター圏(〃)、アントウェルペン(ベルギー)、ブリュッセル(〃)、リエージュ(〃)、ルクセンブルク(ルクセンブルク)、アムステルダム(オランダ)、フローニンゲン(〃)、ロッテルダム(〃)、ベルリン(ドイツ)、ドルトムント(〃)、エッセン(〃)、ハンブルク(〃)、ライプチヒ(〃)、ミュンヘン(〃)、ロストク(〃)、グラーツ(オーストリア)、ウィーン(〃)、オールボー(デンマーク)、コペンハーゲン(〃)、オスロ(ノルウェー)、マルメー(スウェーデン)、ストックホルム(〃)、ヘルシンキ(フィンランド)、オウル(〃)、タリン(エストニア)、リガ(ラトビア)、ビリニュス(リトアニア)、ビャウィストク(ポーランド)、グダンスク(〃)、クラクフ(〃)、ワルシャワ(〃)、オストラバ(チェコ)、プラハ(〃)、ブラチスラバ(スロバキア)、コシツェ(〃)、ブダペスト(ハンガリー)、ミシュコルツ(〃)、リュブニャナ(スロベニア)、ザグレブ(クロアチア)、ブカレスト(ルーマニア)、クルジュ・ナポカ(〃)、ピアトラ・ネアムツ(〃)、ブルガス(ブルガリア)、ソフィア(〃)、イクラリオン(ギリシャ)、アテネ圏(〃)、レフコシア(キプロス共和国)、アンカラ(トルコ)、アンタリア(〃)、ディヤルバクル(〃)、イスタンブール(〃)

(2016年5月10日収録)


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