ロシアの人口ピラミッドを掲げた。参考に日本の人口ピラミッドを付した。図録8979ではウクライナの人口ピラミッドをロシアと比較したので参照されたい。 ロシアの人口ピラミッドは、日本より、それぞれ、10歳若いが、日本と同様、2つの人口が多い世代(2020年段階で60代前半とその子ども達である30代)を抱えた2重独楽型である。 しかし、最も目立っているのは、70代前半の人口の際立った少なさであり、第2次世界大戦中の出生減が大きく反映した特徴を持っている。また80代後半より上の年齢層(特に男性)の少なさにも気付かされる。ロシアは第2次世界大戦で1,450万人の戦死者、700万人以上の民間人犠牲者を出したといわれる(図録5227参照)が、人口ピラミッドも日本とは比べものにならないぐらい第2次世界大戦による影響を大きく受けていると言わざるをえない。 50代前半のくびれは戦中派の70代人口が少ないことの2次的影響の結果である。 また、1970年代以降のロシアにおける男性死亡率の高さ、平均寿命の低下(図録8985参照)が、男女の比率にあらわれている。年齢別の性比(参考図)を見ると、50代以上の年齢で日本と比べ男性が際立って女性と比べ少なくなっているのである。 さらに、2前後であった合計特殊出生率(参考図)が1991年のソ連邦崩壊後、急落し、1999年には1.16という史上最低値となっているため、出生数も減少し、20〜24歳人口は661万人と前後の世代と比較して少なくなっているのも、もう1つの特徴である。 その後、出生率も回復したため10歳以下の人口も回復しているが、2015年以降は再度、出生率が低下傾向にあり、10歳以下の人口の回復もやや頓挫している。 日本だけでなく他国の人口ピラミッドと比較しても、ロシアの人口ピラミッドは、男女の非対称、あるいは年齢別のギザギザ度が目立っており、ロシアの数奇な歴史上の経緯をそこに感じ取ることができる。
(2006年10月11日収録、2010年11月12日TFR更新、2012年4月28日更新、2013年2月6日囲み記事追加、2015年4月6日国連推計地からセンサス値へ更新、8月7日出生率更新、2019年6月11日更新、2022年4月21日更新、5月10日コラムの各歳別人口ピラミッドに参照日本図追加、コメント増訂、10月1日国連2022推計で更新、2024年3月15日出生率更新、プーチン大統領選公約)
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