博報堂が2010年に行ったアジア10都市における日本、韓国、欧米のカルチャー系コンテンツの受容状況についての調査の結果をグラフにした。2014年調査の新版は図録8054

 取り上げているコンテンツは、マンガ・アニメ、ドラマ、映画、音楽にメイク・ファッションを加えた5種類である。

 各都市について見る前に、アジア10都市の平均はどうかを下の図に示した。

 マンガ・アニメとメイク・ファッションでは、韓国、欧米を押さえて、日本がトップとなっている。特にマンガ・アニメは大きく他を引き離している。

 他方、映画、音楽は日本や韓国の地位は欧米には大きく凌駕されている状況にある。

 ドラマは、韓国と欧米が競っており、日本のドラマはこれらには及ばない状況である。

 

 各都市の結果は冒頭の図録の通りである。各都市は日本のマンガ・アニメの影響の強さの順に並べてある。

 マンガ・アニメではアジアの8都市までが日本のものを最もよく見るとしている。

 ドラマでは4都市が最も好きなドラマのタイプとして韓国ドラマをあげている。ドラマの場合は欧米ドラマを最も好む都市も4都市ある。

 映画と音楽は、やはり、欧米ものの支配力がいずれの都市でも最も強い。

 メイク・ファッションでは、台北と香港が日本、バンコクと上海が韓国、それ以外が欧米を1位にあげている。

 各都市がそれぞれのコンテンツで日本、韓国、欧米のいずれを1位としているかの整理表(右の表)を作成してみると、どちらかというと、台北と香港は、ドラマやメイク・ファッションまで日本が1位となっており「日本びいき」、バンコクと上海は、ドラマやメイク・ファションは韓国が1位となっており「韓国びいき」であるといえる。欧米が1位の映画、音楽でも、台北と香港は韓国ものより日本ものを好んでおり、バンコクと上海は逆に日本ものより韓国ものを好んでいる。

 また、シンガポール、ホーチミンシティー、クアラルンプールでは、ドラマやメイク・ファッションの1位は欧米となっており、かなり「欧米びいき」であることも分かる。クアラルンプールではマンガ・アニメでさえ、日本ものより欧米ものの方をよく見るとしている。

 なお、ムンバイはいずれの国のコンテンツの割合も低くなっているのが目立っている。これは「インドでは、「映画」を中心に、自国コンテンツが圧倒的な人気と影響力を持っており、外国コンテンツの浸透は非常に低いレベルにある」(博報堂ニュースリリース)ためだとされる。インドネシアのジャカルタにもムンバイほどではないが同様の傾向が認められる。

原データ(単位:%)
  台北
(台湾)
香港
(中国)
メトロ
マニラ
(フィリ
ピン)
バンコク
(タイ)
上海
(中国)
ジャカ
ルタ
(インド
ネシア)
シンガ
ポール
ホーチミ
ンシティ
(ベト
ナム)
クアラル
ンプール
(マレー
シア)
ムンバイ
(インド)
よく見るマンガ・アニメ 日本 61.0 48.3 37.0 27.6 25.4 18.9 17.4 12.9 11.5 0.4
韓国 1.1 1.2 2.8 1.8 4.2 0.4 2.2 2.3 1.0 0.0
欧米 10.9 5.5 23.6 9.9 7.5 6.2 11.0 12.3 18.5 4.1
好きなドラマのタイプ 日本 44.8 37.6 1.6 9.8 25.3 3.2 11.4 13.7 3.9 0.0
韓国 33.9 33.5 26.0 32.0 42.2 4.5 27.0 47.9 7.0 0.0
欧米 41.0 33.0 21.6 17.5 23.2 4.2 38.8 60.2 36.4 0.7
好きな映画のタイプ 日本 27.9 23.0 4.0 9.3 27.1 5.1 10.6 3.7 3.9 0.4
韓国 10.1 15.9 8.8 26.3 30.4 2.1 16.8 32.2 7.6 0.1
欧米 92.3 69.7 68.0 47.4 43.3 36.3 65.8 67.2 57.2 6.5
よく聞く音楽 日本 34.0 20.5 3.0 3.3 17.5 1.3 6.2 0.6 2.3 0.2
韓国 16.5 10.0 5.4 12.2 21.8 0.9 9.6 11.3 3.3 0.0
欧米 66.5 42.4 58.8 27.3 21.1 16.1 56.8 24.6 37.9 2.5
影響を受けている
メイク・ファッション
日本 52.1 50.3 4.8 9.3 13.0 0.6 11.4 1.6 3.5 0.0
韓国 20.3 19.5 4.4 23.2 22.0 0.0 9.4 13.3 1.9 0.0
欧米 28.5 20.8 34.8 8.4 8.7 2.1 24.4 18.2 11.7 2.0
(注)各都市500〜800名の中上層収入層の15〜54才男女が対象。2010年5月〜8月、面接調査実施
(資料)博報堂Global HABIT 調査「アジア10都市における日・韓・欧米コンテンツ受容性比較」

(2012年5月8日収録)


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