地域の再生可能エネルギー(自然エネルギー)によって地域のエネルギー需要をどこまで満たせているかというエネルギー自給率を千葉大(倉阪秀史教授)とNPO環境エネルギー政策研究所が都道府県、及び市町村別に試算し、公表している(公表サイトはここ)。ここでは、都道府県別の試算結果を図録として収録した。

 試算者は自然エネルギー自給と食料自給とがセットとなって永続地帯(サステナブル・ゾーン)を形成するとし、そのうちのエネルギー永続地帯の指標として、自然エネルギー自給率を計算している(農水省が計算している都道府県別食料自給率は図録7235参照)。

 本来は総てのエネルギー需要を自然エネルギーでどこまで満たせているかという指標であるべきであるが、当面は、工場用や自動車用のエネルギーまで含めるより、家庭用、業務用の民生部門(農業水産用も準じた用途として含め)のエネルギー需要をどこまで満たせているかという指標が重要だとの判断に立っている。太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電、太陽熱・地熱利用等の自然エネルギーの開発が、当面、家庭用やビル用を目指して行われている現実を踏まえた判断だと思われる。

 なお、水力発電については、大型ダムによる水力発電は必ずしもサステナブルな環境調和にそぐわないものとして省かれ、ヨーロッパから世界に広がりつつあるとされる小水力発電の定義に適うもののみが含まれている。また、本来、加えられるべき熱利用の木質バイオマスについては集計技術的な問題から今回は省かれている。

 自然エネルギー自給率の高い地域は以下の通りである。

1 大分県
2 富山県
3 秋田県
4 長野県
5 青森県
6 岩手県
7 鹿児島県

 トップは、地熱発電や温泉熱利用が多い大分県であり、自給率が25%に達している。最下位はエネルギー需要の巨大な東京都の0.2%であった。

 上位地域のエネルギー源構成をみると、大分県は地熱発電・温泉熱利用の地熱エネルギーが74%、第2位の富山県は発電量1万キロワット以下の小水力発電(エネルギー)が94%を占めるなど地域的な特色がある。青森県は風力発電が約5割を占めている。太陽エネルギーについては鹿児島県が16%と一定程度のシェアを持つ他は、いずれも1割以下である。バイオマスエネルギーも今回熱利用は省かれ、発電利用だけなのでシェアはいずれも小さい。

 なお、自然エネルギー供給率の国際比較については、全エネルギー供給に占める割合であるが、図録4052に、再生可能エネルギーの「水力・太陽光・風力・地熱発電」、及び「バイオマス、廃棄物」についての供給率ランキングを掲げたので参照されたい。

(2009年1月11日収録)


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