観光庁の調査結果から買物消費の多さなど「訪日外国人の旅行消費額比較」を図録7218で行った。ここでは、さらに旅行消費の内容について、各国比較を行ってみよう。

 飲食費については、パッケージツアー代金に含まれる場合が多いので、パッケージツアーの比率の高いアジアからの訪日客より自前旅行の多い欧米からの訪日客の方が当然多くなる(下図の両者の相関図を掲げた)。それにしても、さすがグルメの国のフランス人は1人当たり4.6万円と格段に多く、日本に来て大いに美食にお金を使っている様子が明らかである。フランスにおける和食ブームも間接的にうかがわれよう(パッケージツアー代に含まれる分も含んだ飲食費は図録7818参照)。


 娯楽サービス費は、現地ツアー・ゴルフ・テーマパーク(ディズニーランドなど)と芸術・文化関係とからなる。娯楽サービス全体では、中国、シンガポール、フランス、ロシアが多いが、芸術・文化関係だけに限ると中国、シンガポールは少なく、欧米、特にフランス人(及びロシア人)の消費額が大きい。欧米の中ではドイツ・英国の芸術・文化消費額は少ないのが目立っている。

 買物の内容については、まず、中国人は、家電量販店で売っているようなカメラ、テレビなど電化製品への消費額と化粧品・医薬品・トイレタリーへの消費額が他国に比べて非常に多いのが目立っている。電化製品についてはロシア人の消費額も中国人と並んで多い。

 欧米人は化粧品・医薬品・トイレタリーへの消費がアジア人と比べて特段に少ない。長距離を飛行機で越えてきて、化粧品でもなかろうという感覚は分かる気がする。

 飲食料品やファッション製品については、国により大小があるが、アジア、欧米を問わず買われている。どちらもフランス人の買物が最も大きくなっている。

 フランス人、ロシア人以外の欧米人については、いずれの買物についても概して消極的であるのが目立っている。飲食費や芸術・文化関連費についても多くはない。彼らの訪日旅行は、無駄な買物など余計なことをせず、然るべく来て、見るものを見て、然るべく帰るという行動様式が想像される。

(2010年9月9日収録、4月19日四半期から年間ベースに更新、7月21日「芸術鑑賞・美術館等」数値表示)


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