浜松町と羽田を結ぶ東京モノレールが1964年の東京オリンピックに際して我が国で初めての本格的な交通手段として開業したときには、何と近未来的な乗り物だろう、一度は乗ってみたいと感動したものである。

 この図録では、日本モノレール協会ホームページ掲載のパンフレットから、日本におけるモノレール交通についてまとめた。

 モノレールの歴史は、1820年頃、英国のヘンリーパルマが発明した風力利用のモノレールからはじまるといわれる。その後、ロンドン、アイルランド、ドイツ、米国、フランスへと広がっていった。

 日本では、1951年に豊島園の遊具施設として最初に実現し、都市交通手段としては1957年に東京都交通局が実用実験として建設した上野公園内の懸垂型モノレールがはじまりである。

 現在、日本では図のような11地域、13路線、総延長113qが稼働している。1日当たりの輸送人員の最も多いモノレールは、羽田空港とむすぶ東京モノレールの13.1万人であり、多摩都市モノレールの10.6万人、大阪都市モノレールの8.8万人が続いている。一方、犬山モンキーパークや広島スカイレールのような600〜700人の小規模なモノレールも存在している。

 日本製のモノレールは海外にも進出し、中国重慶、シンガポールで開業し、ドバイでも開業予定となっている。地下鉄よりコスト安なため建設された千葉都市モノレールについては、東京モノレールの時代の近未来イメージは失われ、空が狭くなり鬱陶しいといったことから評判が余り芳しくなかったが、途上国ではなお未来の乗り物的なイメージがあるかもしれない。道路幅員が狭くても建設可能な小型モノレールが開発されていることから、政令指定都市以下の規模の都市公共交通の1つの選択肢としての可能性はあると考えられる。以下にコラム的に同じ日本モノレール協会のパンフから都市モノレールのコストと輸送力についての記述を引用した。

都市モノレールの役割(コストと輸送力)

 都市モノレールは、輸送需要、輸送距離との関係において、中量の輸送需要と中距離の輸送に適している。
 モノレールの輸送力は、大型モノレールか小型モノレールか、或いは運行間隔をどのように設定するかによって異なるが、おおむね、1時間片方向の輸送力は2,000人から33,000人程度となる。
 小型モノレールを4両編成で運行した場合、運行間隔10分の場合、1時間当たり1方向の輸送力は2,000人、運行間隔2分半の場合7,000人となる。この輸送力は、大型モノレールの輸送力の約半分、LRTの1.6倍、バスの約4倍である。
 事業費の面での優位性は地下鉄に比べ1/3の事業費で導入可能である。


(日本モノレール協会HP掲載のパンフレット)

日本のモノレール
開業年 名称 線名 営業キロ 輸送人員
(1日当たり)
形式 備考
1957 東京上野動物園 上野懸垂線 0.3 3,000 懸垂型 東京都が上野動物園内に敷設した最初の本格モノレール
1962 名古屋犬山モンキーパーク モンキーパークモノレール線 1.2 600 跨座型 犬山遊園・動物園間
1964 東京モノレール 東京モノレール羽田線 17.8 131,000 跨座型 2007.1.24に利用客数累計15億人突破
1970 湘南モノレール 湘南モノレール江の島線 6.6 29,000 懸垂型 大船・湘南江の島間
1985 北九州都市モノレール 北九州モノレール小倉線 8.8 30,000 跨座型 我が国最初の都市モノレール
1988 千葉都市モノレール 千葉都市モノレール1号線・2号線 15.2 43,000 懸垂型 懸垂型モノレールとしては世界最長
1990 大阪都市モノレール 大阪モノレール線・彩都線 28.0 88,000 跨座型 本線は大阪空港・門真市、彩都線は万博記念公園・彩都西
1998 広島スカイレール 広島短距離交通瀬野線 1.3 700 懸垂型 みどり口・みどり中央間5.2分
1998 多摩都市モノレール 多摩都市モノレール線 16.0 106,000 跨座型 2000.1.10全線開業
2001 舞浜リゾートライン ディズニーリゾートライン 5.0 45,000 跨座型 環状単線モノレール
2003 沖縄都市モノレール 沖縄都市モノレール線(ゆいレール) 12.9 36,000 跨座型 那覇空港・首里間を走る沖縄県民待望の軌道系交通機関
(注)輸送人員は2005年度実績。開業年は当初のもので後年の延長開業等は含まず。

(2009年1月21日収録)


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