足かけ23年続いた人気長寿シリーズ映画「釣りバカ日誌」がついに公開中の「釣りバカ日誌20ファイナル」で終了するという。これを報じる毎日新聞の記事(2010.1.23夕刊)にこれまでの主な連作シリーズが紹介されていたのでここで図録にして収録することとした。

 作品数でも足かけ年数でも最も多いのは、渥美清主演の「男はつらいよ」シリーズ(寅さんシリーズ)であり、48作、足かけ27年続いた。巻末にネットフリックス等での鑑賞のために一覧表を示した。

 作品数では森繁久弥の「社長」シリーズが2番目であり、足かけ年数では西田敏行・三國連太郎コンビの「釣りバカ日誌」シリーズが2番目である。

 同一俳優によるシリーズ映画が数多く作られたのには、日本特有のブロックブッキングという興業形態があるという(同上毎日新聞)。これは映画会社が系列映画館に定期的に作品を供給する義務を負うというシステムであり、このシステムにとっては形式の定まったシリーズものが重宝な存在であったため、1970年代までは盛んに作られたというわけである。

 今や、かつての系列館はなくなり、代わってシネコン(複合型映画館)の時代となり、現在の映画作りは多くの出資者が一回ごと集まる「製作委員会」方式が主流となったためこうした息の長いシリーズものは成立が困難になっているという。

日本映画の主な同一俳優による長寿シリーズ
タイトル 製作
会社
主演 年次 足かけ
年数
作品数
「社長」シリーズ 東宝 森繁久弥 1956〜70年 15年 33作
「駅前」シリーズ 東宝 森繁久弥 1958〜69年 12年 24作
「若大将」シリーズ 東宝 加山雄三 1961〜81年 21年 18作
「クレージー」シリーズ 東宝 クレージーキャッツ 1963〜70年 8年 14作
「日本一の男」シリーズ 東宝 植木等 1963〜71年 9年 10作
「男はつらいよ」シリーズ 松竹 渥美清 1969〜95年 27年 48作
「トラック野郎」シリーズ 東映 菅原文太 1975〜79年 5年 10作
「釣りバカ日誌」シリーズ 松竹 西田敏行・三國連太郎 1988〜2010年 23年 22作
(注)釣りバカ日誌シリーズの作品数は特別版を含む(特別版を除くと20作)
(資料)毎日新聞2010.1.23(夕刊)、「社長」シリーズはウィキペディア(2010.5.21)

 以下は、馬場康夫氏が全50作を見返し、今の視点で採点した「男はつらいよ」シリーズ一覧表
 (資料)NEWSポストセブン(2022.09.10) 記事リンク

(2010年1月25日収録、5月21日社長シリーズ追加、2022年9月11日「男はつらいよ」シリーズ一覧表)


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