東京都議会選挙(定数127)が2021年7月4日の投開票に向け、選挙戦に行われた。党派別では、小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党・都民ファーストの会が勢力を維持できるか、小池都政に肯定的な立場に転じた自民党が、協力関係を都民ファーストから自民に変えた公明党と合わせて過半数を獲得するかが焦点となった。

 各党は、五輪開催・有観客の自民・公明、無観客を主張する都民ファースト、五輪中止を掲げる共産・ネット・れいわなどに分かれて論戦を戦わした。


 結果は自民党は33議席で第1党を奪還したが、大きく伸ばすことはできず、全員当選を果たした公明党と合わせても過半数(64議席)に届かなかった。地域政党・都民ファーストの会は改選前の46議席から31議席まで減らした。今回の選挙結果が、秋までに行われる衆院選に影響を与えるのは必至と見られている。

 支持政党別の投票先を見ると地域政党であることもあって都民ファーストの会が自民支持層の12.4%とかなりの支持を集めている。また、無党派層の支持率順位は都民ファースト、共産党、自民党の順になっており、政権政党である自民党と公明党を足しても20.7%と劣勢だった。「選挙の顔」が勝敗を左右する傾向が強まっているなかで小池知事の都民ファースト以外は印象が薄かった影響が出ているともいえる。


 過去を振り返るため、都議選の党派数別の当選者の推移をグラフにした。今回を含め公明の安定的な当選者数の推移が他の党派の大きな変動と対照的である。

 前回2017年まで4年ごとに自民、民主、都民ファーストと3連続で第一会派が入れ替わってきた。前回は、図からも明らかなように自民と民進から票を奪って、小池知事率いる都民ファーストの会が圧勝した。その後、秋の衆院解散を機に小池氏が希望の党を結党すると、野党一党だった民進党から合流者が続出し、民進党は分裂。希望の党は勢いをましたが、民進党議員の一部を「排除します」として小池氏の発言で失速。自民が勝利し、野党は「排除」された側が終結した立憲民主党が第一党に躍り出た。

 都議選はこのように国政との関係が深く、また、特に今回はオリンピックやコロナ対策と結びついてるので、都民ならずとも関心が高くなる。

 都民ファーストの会の特別顧問である小池都知事は6月22日夜から「過度の疲労」を理由に休養していて、公務を中止し、また都議選にも関わっていない。オリンピックに関して何らかの主張をしにくい立場から、都議選との関係であえて体調を理由に「トンズラを決め込んでいる」という観測も出てくる。

 過去3回の都議選の状況をNHK選挙WEBにより振り返ると以下である。

・2017年

 小池知事率いる都民ファーストの会が、追加公認を含めて55議席を獲得して圧勝、都議会第1党に躍進した。23人全員が当選した公明党などを加えた小池知事を支持する勢力が過半数を大きく上回った。自民党は、選挙前より半分以上減らして23議席にとどまり大敗した。共産党は選挙前より2議席増やした。

・2013年

 国政で自民党が政権を奪還してから半年後に行われた選挙。自民党は59人の候補者全員が当選し、都議会第1党に返り咲いた。民主党は、議席を選挙前の3分の1近くに減らして大敗し、第4党に後退した。共産党は議席を大幅に増やして躍進した。

・2009年

 民主党が選挙前から20議席増やして大勝し、初の都議会第1党に躍進。自民党は、10議席減らして過去最低に並ぶ38議席となり、全員当選した公明党と合わせても都議会過半数を割り込み大敗を喫した。自民党が第1党の座を失うのは44年ぶり。共産党は5議席減らした。

(2021年6月26日収録、6月27日各党公約、7月5日更新、7月6日支持政党別投票先)


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