日本が戦争に巻き込まれる危険性についての国民意識をたどった。

 1979年からのソ連軍のアフガニスタン侵攻も終結に近づき、87年には米ソで中距離核戦力(INF)全廃条約が調印された。これ以降、冷戦の終結を見た1990年代、1997年までは、「危険がある」という回答率は2割前後であった。

 ところが、「危険がある」は、2000年には30%台、2003年、2006年には4割台にまで上昇してきている。これは、1998年以降、以下のような事件が起こっているからである。

1998.8.31 北朝鮮テポドン1号発射実験
2001.9.11 米国における同時多発テロ
同年 米国の報復攻撃によるアフガニスタン・タリバン政権崩壊
同年 テロ特措法にもとづく自衛隊海外派遣
2003.3.20〜5.1 イラク戦争
同年 イラク特措法にもとづく自衛隊海外派遣

 その後も、2006年7月5日には、2002年の日朝平壌宣言におけるミサイル発射実験の凍結合意にもかかわらず、北朝鮮が、周辺国に通告することなしに、テポドン2号を含む複数のミサイル発射実験を行った。しかし、同年7月17日にはイラク派遣の陸上自衛隊、撤退が完了した。

 2006年調査と2009年調査とでは、設問の形がやや変更となったので接続しない。2009年から12年にかけても、危険性の認識が低まってはいない。2015年にかけても、安倍政権下で2014年7月に集団的自衛権の行使容認を閣議決定したこともあって、危険性の認識はさらに高まっている(図録5221a参照)。なお、2015年の調査時期は1月8日〜18日なので、回答者は、イスラム過激派による仏週刊新聞「シャルリー・エブド」の襲撃(1月7日)は知っているが、イスラム国による日本人2人の殺害予告事件(1月20日インターネット公開)は知らないで答えている。

(2006年7月6日収録、2012年4月16日更新、2015年3月9日更新)


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