各国におけるワイロなどの汚職の広がり(involvement in corruption)の程度を国民の見方から探ってみよう。図にはISSP調査から行政機関において汚職にどのぐらいの人が手を染めているかを聞いた結果を掲げた。

 OECD諸国の犯罪被害調査による汚職・贈収賄被害率については図録2788f参照。

 行政機関の汚職について、「ほとんど全員」と「多数の人」を足した比率で国を並べると、最も汚職が広がっているのは、ベネズエラであり、クロアチア、リトアニア、ロシア、南アフリカがこれに次いでいる。ベネズエラでは「ほとんど全員」に汚職が広がっているという回答が何と43%に上っているのだからおどろく。

 最も汚職が少ないと考えられているのはデンマークであり、オランダがこれに次いでいる。

 地域的な傾向としては、南米や旧ソ連圏、東欧などで汚職汚染度が高く、西欧や北欧では汚職が少なくなっている。

 アジア諸国としてはフィリピン、インド、韓国、台湾、日本が11〜22位とほぼ中位レベルを占めている。日本はアジアの中で最も汚職汚染度が低く、中位レベルの少し下といった水準である。

 旧ソ連圏であるのに例外的に汚職が少ないと考えられているのはジョージアである。ジョージアののサアカシュヴィリ大統領(2004〜13年在職)は汚職の解消に大きな実績を残し、彼が改革を施した官僚システムや行政システムは、現在、欧米諸国と比較しても効率的で無駄がないと評されているほどだという。にわかに信じがたいが、ジョージアがデンマーク、オランダに次いで汚職が少ないと国民から評価されている結果もその反映なのであろう。

 34の対象国を図の順番で掲げると、ベネズエラ、クロアチア、リトアニア、ロシア、南アフリカ、スロベニア、ポーランド、チェコ、スロバキア、チリ、フィリピン、イスラエル、トルコ、インド、韓国、ハンガリー、スペイン、米国、台湾、アイスランド、フランス、日本、オーストリア、オーストラリア、ドイツ、英国、ベルギー、フィンランド、スウェーデン、スイス、ノルウェー、ジョージア、オランダ、デンマークである。

(2017年2月14日収録)


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