輸送モードごとのトンキロ分担率、エネルギー消費量、2酸化炭素排出量、労働投入量の比較は、図に示した通りである。

 内航海運の輸送トンキロの分担率は41%であるが、貨物輸送全体に占めるエネルギー消費量は8.4%、CO2排出量は2.1%と計算されており、環境にやさしい輸送機関であることは明らかである。

 我が国では、地球温暖化を解決するための京都議定書の目標達成を目指し、我が国全体のCO2排出量の2割を占める交通部門では、2010年までに、自然増に対し炭素換算1,300万トンの削減、1990年対比17%増にCO2排出量を抑制する目標をたてている。しかし、現実には、98年時点で90年対比21%増となっている(平成12年運輸白書)。

 内航海運の分担率が例えば10%ポイント上昇し、同じだけトラック輸送が減少したとすると、それだけで物流部門で約17%(炭素換算約300万トン)のCO2削減効果がある。内航海運の分担率が上昇すれば、旅客部門や物流各輸送モード毎の排出量の抑制(内航海運ではスーパーエコシップなど)とあいまって、交通部門からのCO2削減の目標達成が容易となろう。


(労働投入量の推計方法)
 労働投入量については、財団法人国民経済研究協会(担当:本川)で推計したので、推計方法について記録しておくこととする。
 労働投入量の概念としては、直接労働のみを含めることとした。事務部門等は含まず、トラックならドライバー、内航海運なら船員を対象とした。ただし、鉄道と航空は間接部門を含んだデータとなっている(実際は、直接部門だけをとっても運転手、パイロットだけでは狭すぎるのであるが)。
 算出法は図の下の表の通りであるが、いくつかはコメントが必要であろう。
航空は、国勢調査による航空運輸業就業者数(旅客+貨物、かつ国際+国内)に産業連関表から求めた国内貨物の生産額シェアで案分して求めた。
 最も推計度の高い数字は自家用トラックの運転者数である。考え方としては、営業車並みに自家用車が走行した場合の実働車両数と同じだけドライバーがいるとした。自家用車の場合、半日しか走行しない場合も多いことを考慮に入れたものである。具体的には、陸運統計要覧から、自家用普通車と自家用小型車のそれぞれについて、実在車両数に実働率(実働延べ日数/実在延べ日数)を掛け合わせて実働車両数を算出し、さらに、営業車との比較における実働1日1車当たりの走行キロの対比(普通車0.40、小型車0.57)を換算率としてこれに掛け合わせて結果を推計した。自家用車で半日稼働の場合は、0.5人としたわけである。

(出所)
日本内航海運組合総連合会 「内航海運ビジョン」(2001年6月)


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