石油は1次エネルギー供給比率で50%を切ったとはいえ、なお日本のエネルギー供給の主役である点には変わりがない(図録4000参照)。ここでは、海外からの輸入原油を精製し、ガソリン、灯油、重油等を製造する製油所の能力を見た。

 日本の石油精製能力(原油処理能力)は日476.7万バレルと米国、ロシアに次ぐ世界第3位である。日本のあとは、中国、韓国、イタリア、ドイツと続いている。

 日本の1製油所当たりの精製能力は14.0万バレル/日と米国、ロシアよりはやや大きいものの、新興工業国である韓国、台湾、シンガポールと比較すると相対的に小規模となっている(特に韓国とシンガポールは40万バレル/日以上と巨大である)。またサウジアラビア、ベネズエラ、クエートといった産油国の精製設備も日本より大きい。

 日本の産業競争力の制約となっている高コスト体質の1つとして石油価格の高さがあげられることが多いが、高い税比率の他にこうした規模格差を指摘することができよう。

 中国は石油の巨大な需要増が生じているが、1製油所当たりの精製能力は4.8万バレル/日と小規模な製油所が多く、製鉄所やセメント工場などと同様のリストラの課題が残っている。

(以上、2004年掲載時のコメント)

 以下に主要国における2002年以降の石油精製能力の推移を掲げた。中国が米国に急速にキャッチアップしつつある点、日本が長期的に低落し、2013年にインドに、2018年に韓国に抜かれている点が目立っている。


(2004年8月27日収録、2019年8月22日2002〜18年推移)


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