高知県中村市蕨岡地区は、足摺岬に近い農村であるが、1960年代に、この四国の農村部でも小学生児童の髪型はイガグリ頭(いがぐり頭)から長髪へと一気に変化したことが、毎年の卒業記念写真から分かる。

 「髪型だけではない。この頃から服装も学生服ではない、セーターなどの都会風となり、顔つきまでニッコリと都会風なポーズで写真に写っている。つまり60年代のなかばという時期には相当な僻地にまで都市化の波が押し寄せて行ったことがわかるのである。」(祖父江孝男1998)

 他に、こうした変化と平行して、農家の改造、すなわち茅葺き屋根が華やかな色のカラートタンに代わり、イロリ・縁側がなくなって、玄関・アルミサッシが使われるようになった、というような変化も起こった。

 甘いものが食べられるようになったのも生活の変化である。1951年生まれの私は虫歯にならなかったが、5年後に生まれた妹は、完璧に虫歯となった。甘いものを食べ過ぎると虫歯になるということは当時の親も想定外だったのであろう。

 写真やテレビが白黒からカラーに変わっていったのも当時の生活変化のひとつである(図録2650)。

*参考文献

祖父江孝男(1998)「戦後日本の村落における生活様式の変遷」(嶋陸奥彦・朝倉敏夫編「変貌する韓国社会―1970~80年代の人類学調査の現場から (Academic series new Asia (26)) 」第一書房)

(2012年2月13日収録)


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