天皇譲位によって平成が2019年4月一杯で終わることになったので、平成期に起ったことを振り返る記事や調査がさかんである。ここでは、毎日新聞と埼玉大学社会調査研究センターが行った世論調査から「平成に起った印象的な出来事」を聞く設問の回答結果を取り上げた。

 類似の調査で図録2640に「戦後、日本の社会に大きな影響を与えた出来事」を掲げた。

 回答率の高さから判断すると、最大の出来事は「東日本大震災・福島第1原発事故('11)」であり、これに「地下鉄サリン事件」('95)、「米国同時多発テロ」('01)、「阪神大震災」('95)が続いている。

 この4つの出来事は、5位の「JR福知山線脱線事故」以下と比較して、回答率が格段に高く、まさに「平成の4大事件」といってもよいだろう。

 金融危機の象徴として選択肢に取り上げられた「山一證券破綻」は回答率が14%とさほど高くない(なお、「アイフォーン日本販売開始」('08)などよりは確実に印象的だと思われる同年に起きた米国の「リーマンショック」は「山一證券破綻」と同じ金融危機なのでこの調査では取り上げられていない)。

 また、明治以降なかった生前退位という形で平成の終了を自らもたらすことになった「天皇陛下のビデオメッセージ」('16)も入っていない(図録5239参照)。

 男女別では、男女にそれほど大きな差は認められないが、中国の天安門事件や湾岸戦争など国際的な事件については、男性の方が女性より印象度が大きいのに対して、殺人事件や鉄道事故、噴火災害など痛ましい犠牲者が出た事件に関しては女性の方が男性より印象度が大きいという傾向が認められる。

 別の調査の結果であるが、「平成のイメージ」をきいた結果を以下に再掲した(図録5239cから)。災害が続出し、経済も低迷した時代だったためであろうが、高齢層は、「明るい」が40〜50%台と低いが、20代以下の若者層は、これから高齢化がさらに進み暗くなる前だからという意識のせいか「明るい」が75%とかなり多くなっている。



 図録と同じ調査で、「平成期の政治的な出来事に対する好印象・悪印象」をきいた設問の結果については図録5236cに掲げたが、同じく平成に起った出来事ではあるので、参考までに、図のみを以下に再録しておく。


 調査項目として取り上げられた20の出来事は、時代順に、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件、天安門事件、ベルリンの壁崩壊、日本人初の宇宙飛行、湾岸戦争勃発、阪神大震災、地下鉄サリン事件、ウィンドウズ95発売、神戸連続児童殺傷事件、山一証券破綻、米国同時多発テロ、JR福知山線脱線事故、ライブドア社長、村上ファンド代表逮捕、秋葉原無差別殺傷事件、アイフォーン日本販売開始、東日本大震災と福島第1原発事故、御嶽山噴火、「イスラム国」による日本人人質殺害、日本年金機構個人情報流出事件、相模原障害者殺傷事件である。

(2019年1月1日収録、1月4日補訂、2月6日平成のイメージ)


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