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 独身男女が結婚相手の条件として何を重視しているかについて調べた結果を図録化した。調査は社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査による。

 結果から言うと、男女とも人柄重視が第一だが、異性と比較して、女性は相手の学歴、職業、経済力を、男性は相手の容姿を重視している。最近は男性も女性の経済力を、女性は家事意欲に加え男性の容姿もますます重視する傾向にある。

1.構造的な特徴

 時系列的な変化の特徴についてふれる前に、項目別の男女の重視点について整理すると、以下のような点が目立っている。
  • 男女ともに「人柄」を重視する者の割合が最も多く、しかも、他の項目と異なり、単なる「考慮」は少なく、ほとんどが「重視」するとしている。当たり前に思われるが、やはり結婚相手はひと次第というのが最強不変の観点なのである。
  • 男女差がはっきりしているのは、「学歴」、「職業」、「経済力」の3項目である。すなわち、この3項目では、男性より女性の方が結婚相手の条件として重視している。特に「重視」の割合で男女差が著しい。
  • 「容姿」、「共通の趣味」、「仕事への理解と協力」、「家事・育児の能力や姿勢」の4項目は男女でそれほど大きな違いはない。
  • ただし、「考慮」ではなく「重視」に着目すると、「容姿」は男性の方がやや重視が上回る傾向(美人志向)、「仕事への理解と協力」、「家事・育児の能力や姿勢」の2項目では女性の方がより重視する傾向が認められる。

2.時系列的な変化の特徴

 次に時系列的な変化の特徴を見てみよう。これについては特徴点を表示選択の図に示した。

(期待されるキャリアウーマン)
  • 男性も相手の「経済力」について考慮する割合が増加。夫婦共働きが増え、男性も相手の経済力を無視できなくなっているのであろう。「職業」についても同様の変化が認められる。つまり、男性は家計の維持などから、相手にますますキャリアウーマンを期待するようになったのである。
(イケメン志向)
  • 男性の方が重視する程度が大きかった「容姿」について、最近は女性も相手に期待する割合が増加しており、「重視」と「考慮」の合計では2021年調査ではじめて女性の回答が男性を上回ったのが印象的である。男女関係において最近は美人志向というより美男子(イケメン)志向が目立つようになっているのである。

(イクメン志向)
  • イケメン(イケてるメンズ)にひっかけて、育児に積極的な男子をイクメン(イクジするメンズ)と呼ぶようになった。女性が結婚相手の条件として「家事・育児の能力や姿勢」を重視する割合は以前より高かったが、最近ますますその程度が高まっている。なお、女性が相手に対して、家事・育児だけでなく「仕事への理解・協力」を重視する割合が上昇している点も見逃せない。夫婦関係における男女共同参画の意識は幅広く高まっていると言える。
(各々の個性を尊重)
  • すべての項目の中で重視・考慮する割合が明確に低くなっているのは女性の場合の「共通の趣味」の項目だけである。「共通の趣味」は男性より女性が重視する項目だった。女性は相手と手をつないで共通の楽しみを享受する男女関係に大きな意味を見出していたのである。ところが、この項目を重視・考慮する割合は女性については低下を続け、男性のレベルを下回るに至っている。各々の個性、趣味を尊重し合う夫婦関係がよいとする自立尊重型の価値観に変化してきているのである。
(目立つ女性の価値観の転換)
  • 男性は「経済力」関連項目を除くとその他の項目の重視・考慮割合にあまり変化がないのに対して、女性については多くの項目で変化が見られる。女性の価値観の転換が最近の大きな特徴と言えよう。

(2022年10月18日収録、11月6日コメント校正)


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