統計数理研究所によって「日本人の国民性調査」が1953年以来、5年ごとに戦後継続的に行われている(同じ問を継続しているが問によっては必ずしも毎回聞いている訳ではない)。長期的な日本人の意識変化を見るためには貴重な調査である。この調査はすべて、全国の20歳以上(ただし2003年〜08年は80歳未満、2013年は85歳未満)の男女個人を調査対象とした標本調査である。各回とも層化多段無作為抽出法で標本を抽出し、個別面接聴取法で実施されている。

 ここでは、日本人のくらし方態度の長期推移を追った。

 戦後間もない1953年当時には「清く正しく」が30%近くと最も多かったが、その後、この選択肢への回答は減り続け、2013年には5%になってしまった。

 これに代わって増加したのは、「趣味にあったくらし」と「のんきに」である。特に「趣味にあったくらし」が今や4割を占めている。しかし金や名誉は求めないものの個人としての生活方針へのこだわりは示すこの回答が大きく増加したのは1973年まで、すなわち高度経済成長期までである。近年徐々に増加しているのは、むしろ、自分自身のこだわりからも自由な「のんきに」である。

 戦後社会が豊かになるとともに、個人のくらし方態度は、悪くいえば、無気力化が進み、良くいえば、自由の追求が深化しているといえよう。

 「社会につくす」は4%で少数派で低迷しており、最近の社会貢献意識の高まり(図録2990参照)を反映していないように見える。しかし、選択肢の原文(図の(注)参照)を読むと、全身全霊をあげての社会派を意味しており、ここまでの者はやはり少ないと思われる。最近最近増えているのはいわばプチ社会派であることがこの結果から逆に分かる。

 以上のような意識変化と関わりなく、常に、一定の割合の人がいるのが「金持ちになる」というくらし方態度である。カネの魅力の根強さであろうか、世間がどう変わろうと、金持ち目指して一生懸命働いている人が15〜18%程度(10人いれば一人か二人)はいるという点が興味深い。

(2010年5月7日収録、2014年10月31日更新、2021年12月25日更新)


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