WHO(世界保健機関)が取りまとめているデータから、世界のメンタルヘルス患者数(通院患者及び入院患者)を図示した。ここで図示した2011年のデータに続き、さらにWHOのサイトで2014年の更新版が公表されているが、2014年更新版は各国ファイルが公開されているのみで、2011年データのように集計表ファイルが作成されていないので、ここでは、過去の2011年データを掲げている。

 日本の人口10万人当たりメンタルヘルス患者数は通院患者も入院患者は、それぞれ、図の36か国中15位、25か国中14位と中位レベルにある。

 それにしても、このデータでは、各国で患者数に違いが非常に大きい。各国の精神疾患の罹患率の違いというより、患者を治療する医療体制や患者を受け入れる社会的な仕組みの違いに、国ごとの大きな差があることがうかがわれる。

 例えば、イタリアには精神科病院がない。強制入院から地域で支える仕組みに変えようとする「バザーリア法」(1978年施行)で全廃されたからである。同法は、一般病院に割り当てた精神科病棟への入院は認めているがベッド数は15床までに制限されている。ただ、患者には入院が必要、と考える医師は南部を中心に多く、民間の療養型施設には、実質的に患者を長期入院させるところもあるという(毎日新聞、2018年8月3日)。

 患者数から精神疾患の罹患率を判断することは無理であるようだ。精神疾患の罹患率については、国数や年次に限界があるとしても、やはり、疫学調査に頼るほかないのであろう(図録2140参照)。

 ここで図のデータの国名を掲げておくと、図の順番に、キューバ、クエート、ハンガリー、チェコ、オランダ、チリ、ロシア、スウェーデン、ニュージーランド、フランス、ベラルーシ、英国、イスラエル、香港、日本、デンマーク、オーストラリア、中国、マレーシア、ポルトガル、イラン、米国、イタリア、ドイツ、シンガポール、ベトナム、パキスタン、ポーランド、スリランカ、ブラジル、メキシコ、タイ、エジプト、バングラデシュ、ノルウェー、フィリピン、ハンガリー、ベルギー、フィンランド、オーストリア、米国、スペイン、チェコ、ベラルーシ、ロシア、アイルランド、英国、オーストラリア、イスラエル、日本、シンガポール、香港、ポルトガル、イラン、トルコ、タイ、ブラジル、ギリシャ、パキスタン、マレーシア、バングラデシュである。

(2017年1月10日収録、2018年8月3日イタリア事例)


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