厚生労働省が行っている国民生活基礎調査は、毎年の簡易調査の他に3年ごとに大規模調査が行われ、この際には簡易調査の世帯票、所得票に加えて健康票、介護票による調査が実施される。また世帯票、健康票については、サンプル数が全国の30万世帯、74万人と簡易調査の5倍に拡大された調査が行われる。

 この健康票では、体の具合の悪いところ(自覚症状)があればどんなところかをきいており、大規模調査だけに、それぞれの症状について、男女年齢別に細かく集計されている。

 調査票の症状の選択肢には熱がある、眠れない、肩こりをはじめ42の症状が掲げられているが、年を重ねると多くなるとされる「耳がきこえにくい」と「もの忘れする」という症状について、それらがあると回答した者の割合を年齢別に図にあらわした。

 これらの症状は、60代に3〜4%とやや目立ちはじめ、70歳以上になる70代前半の7%から85歳以上の20%前後へと急増していく状況が図からうかがえる。

 なお、これらの症状への回答は、前問の「あなたはここ数日、病気やけがなどで体の具合の悪いところ(自覚症状)がありますか」に「ある」と回答した者のみが答えている。全体として具合の悪いところががないと感じている者は回答しておらず、症状が「耳がきこえにくい」や「もの忘れする」だけの者は前問で具合が悪いと回答していない場合も多いと考えられる(末尾図参照)。従って、実際は、前問を飛ばして、「耳がきこえにくい」、「もの忘れする」に該当するかどうかだけをきけば、ここでの割合より、もっと多い人が答えるのではないかと考えられる。

 図録2130には、「目のかすみ」と「腰痛」についての同様のグラフを掲げたが、この2症状が40〜50代の中年期から段々と罹患者が増えてくるのに対して、「耳がきこえにくい」と「もの忘れする」は、中年期までは少なく、70代から特に大きく増える年寄り特有の症状である性格が強い点が異なっている。

 次図には参考までに男女別の年齢別結果を掲げた。「耳がきこえにくい」は男女がほぼ同レベルであるのに対して(男性が女性よりやや多いが)、「もの忘れする」は女性が男性を上回る状況にある(特に70代後半以降)ことが分かる。


 なお、同じ国民生活基礎調査のデータを使った職業と「もの忘れ」との関係の分析については図録2132参照。

(2018年7月13日収録、7月18日「目のかすみ」、「腰痛」との比較)


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