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 どんな野菜が多く作られているのか、そしてその推移はどんな状況かについてのグラフを作成した。

 ここで野菜を構成する品目であるが、流通・消費統計では果物に分類されるが、生産統計では野菜として扱われるすいか、いちご、メロンを含んでいる(図録0425コラム「いちごは野菜か、果物か」参照)。また、流通・消費統計では野菜に分類されるが、生産統計ではいも類として扱われるじゃがいも、さつまいもは含まれない(さといも、やまのいもは含む)。

 生産量の大きい野菜は、上から、キャベツ、だいこん、たまねぎ、はくさいの順であり、この4品目が上位4位を占める状況は図の期首年である1960年から、変わっていないので、日本の4大野菜といってもよいであろう。

 消費統計の上位品目は、図録0221で見たとおり、摂取量では、たまねぎ 、だいこん 、キャベツ、じゃがいも、購入数量では、キャベツ、たまねぎ、だいこん、トマト、支出金額は、トマト、たまねぎ、きゅうり、ねぎの順である。はくさいは摂取量、購入数量ともに7位である。

 摂取量、購入数量では生産量の上位3品目と共通である。はくさいが消費統計では順位が落ちるのは、生産量のうち白菜漬、キムチなどの漬物に加工される部分が大きいからと思われる。

 なお、NHKの「日本人の好きな野菜」についての意識調査結果では、キャベツ、たまねぎ、だいこん、ネギ、はくさいの順になっており(図録0334)、ネギを除くと生産量の4大野菜と品目構成が一致しているのも興味深い。

 4大野菜の生産推移を見ると、4品目の地位は大きく変動していることが分かる。

 だいこんは、当初、他の3品目のいずれよりも2倍以上多く、圧倒的な地位を占めていたが、急速に生産量を減少させ、2014年にキャベツに首位を譲り渡すまでに至っている。

 はくさいも一時期はだいこんに次ぐ2番目に生産量の多い野菜であったが、生産量の減少とともに、1980年前後にキャベツに抜かれ、1990年前後にたまねぎに抜かれて、現在は4位に甘んじている。最近は、鍋物需要のせいか、ほぼ横ばいとなっておりだいこんがなお減少傾向にあるのとは対照的である。

 食生活の洋風化とともに、キャベツとたまねぎは、キャベツが先行し、たまねぎが追いかける形で生産が大きく伸びたが、1990年代頃から減少傾向となった。その後、キャベツは2000年代半ばから回復傾向となり、たまねぎはほぼ横ばいとなっている。

 これら4大野菜に次いで、果菜類のきゅうり、トマトや根菜類のにんじん、葉菜類のねぎ、レタス、発芽野菜(スプラウト)であるもやしの生産が多くなっている。

 きゅうりは減少傾向が続いているがトマトは横ばいに転じ、両者は1990年代後半に生産量が逆転している。

 にんじんはたまねぎの生産動向と似た動きを示している。

 レタスはサラダの材料として、もやしは安価な食材として、生産量が伸びている。

 以上、10位までの野菜の動きにふれてきたが、選択表示の11位〜20位の野菜については、すいか、なす、さといもといった和風な品目の減少傾向が目立っている。

 すいかは一時期120万トンの生産量を誇っていたが最近では30万トン台と3分の1以下に生産が減っている。以前、すいかは夏のくだものの代表格であり、すいか割りなど夏の風物詩ともなっていた品目であるが、大きすぎて核家族では消費しきれない、冷蔵庫に入らない、あるいはアイスクリームなど多様化する夏の甘味との競合、重量野菜を農家が嫌うなどの理由から生産が減少したものと考えられる。

 NHKの「日本人の好きな果物」についての意識調査結果でも、すいかの順位は、1983年から2007年にかけて、3位から8位に低下している。

 くだもの的な他の野菜であるいちごやメロンは1980年代までの時期に、すいかとは対照的に、大きく生産を伸ばしている。もっとも両者ともに少なくとも生産量としては最近はむしろ減少傾向となっている。

 かぼちゃはさといもとともに高度成長期に生産が大きく減少したが、さといもが更にその後も減少を続け、かぼちゃの生産量を下回ったのとは対照的に、下げ止まり、減少率が低くなった。洋風料理に適合的な点が理由として考えられる。

 選択表示の21位〜31位の野菜については、和風の品目であるごぼう、かぶの減少傾向が目立っている。ごぼうは生産がピーク時の半分以下となっている。かぶは洋風料理にも使われ1980年代までは生産が落ちなかったが、その後、減少に転じている。

 えだまめ、さやいんげん、れんこんといった品目もかぶと同様な動きとなっている。洋風料理の食材として高度成長期に激増したセルリー(セロリ)も1980年以降は長期減少傾向となっている。セルリーに遅れて生産が伸びた洋風野菜のアスパラガスもバブル崩壊に先行して落ち込んだが、近年は回復傾向にある。


 生産が増加傾向にある点が目立つのはブロッコリーとチンゲンサイ、あるいはやや以外であるがにらである。

 図で取り上げた31品目は、生産量の多い順に、キャベツ、だいこん、たまねぎ、はくさい、トマト、にんじん、レタス、きゅうり、ねぎ、もやし、すいか、なす、スイートコーン、ほうれんそう、かぼちゃ、いちご、メロン、さといも、やまのいも、ピーマン、ごぼう、ブロッコリー、かぶ、えだまめ、にら、れんこん、しょうが、チンゲンサイ、さやいんげん、セルリー、アスパラガスである。

(2020年1月31日収録)


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