東京新聞(2010.3.15)は「賢く食べよう旬の野菜」という記事で、野菜類が季節によってどう栄養分が変化するかについての女子栄養大学辻村卓教授(生物有機化学)の研究調査を紹介している。

 辻村教授は1985年から15年間、研究室の学生らと、野菜約40種を首都圏の5カ所の店舗で毎月購入して、カロテン(カロチンと同じ。それ自体有害な活性酸素から体を守る抗酸化作用を持つほか人間の体内の必要性に応じてビタミンAに変わる)やビタミンCなどのビタミン、またカルシウム、鉄などのミネラルの含有量を調べた。店頭の野菜は時期により露地物であったり、ハウスものであったりした。場合によっては輸入ものも混じっていよう。

「辻村教授は全体的な結果を「土壌成分の影響を受けるミネラルに比べ、光合成の影響を受けるビタミンの変動が大きかった」と説明する。...変動が少なかったのはセロリとピーマンだけだった。辻村教授は「ほとんどの野菜は旬に充実した栄養価をもち、春以外の時期には数分の一の栄養価しかない場合が多い」と分析。「旬とそれ以外では、見た目は同じでも中味は別の野菜」とその大きな違いを強調した。」(同紙)

 たしかに図を見るとカロテンは、ブロッコリー、トマト、ニンジンで月別変動が大きく、ビタミンCは、ホウレンソウ、ブロッコリー、ジャガイモ、トマトで月別変動が大きい。概して旬の季節に栄養素が豊富なことが一目瞭然である。

 従って、安くて栄養豊富な旬の野菜を多く取ることが効果的であるわけであるが、場合によっては旬の時期に買った野菜を下ゆで・冷凍保存しておいて摂取することも重要という。「冷凍保存による栄養価の減少は1、2割にとどまるからだ。」

(2010年6月21日収録)


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