海外で日本料理の人気が高い点について、ジェトロの調査から図録0209で整理した。ここでは、同じ調査から日本料理に対する男女別、年齢別の人気の状態をさらっておこう。なお、日本料理のどんなメニューが好まれているかは図録0209f参照。

 図の黒い線がそれおぞれの国における日本料理に対する人気、オレンジの線が日本料理に次いで人気のある料理、あるいは日本料理が一番人気でない場合は、一番人気のある料理の男女、年齢別の人気度(好きな料理と回答した者の割合)である。

 男女別に見ると、多くの国で、男女いずれかが日本料理をより好んでいる。

○女性の方が日本料理を好んでいる国:中国、香港、台湾、米国、イタリア、ロシア

○男性の方が日本料理を好んでいる国:韓国、フランス、ベトナム、タイ、アラブ首長国連邦

○日本料理の好みに男女差のない国:ブラジル、インドネシア

 年齢別には、年齢によって日本料理の好みに余り差がない国と若者ほど日本料理を好んでいる国とがある。

□日本料理好きに年齢差がない国:中国、香港、台湾、ベトナム、ブラジル、タイ

□若者ほど日本料理を好んでいる国:韓国、米国、フランス、イタリア、ロシア、インドネシア

 若者ほど日本料理を好んでいる国は、日本料理が最近になって人気が増してきている国である可能性が高いといえよう。

 以下に、データを引いたジェトロの調査報告書から、各国での外国料理事情に関するコメントを抜き出して掲げた。

各国の外国料理人気
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中国 性別、年代、都市問わず「日本料理」がトップで人気。2位は「韓国料理」。タイ料理を好む割合が比較的高い。中国の大型商業施設などには、タイ料理レストランが入っていることも多い。
香港 性別、年代、世代問わず「日本料理」がトップ、韓国、タイ料理も人気。東南アジア地域の料理は香港人の口に合い、人気も高い。また、80年代から評判が高く、安い店舗が各区に点在していること、アジア系外国人の在住数が多いという要素もあり、香港では東南アジア地域の料理が深く受け入れられている。アジア料理は健康に良いイメージがあり、高齢者層に特に好まれている印象である。
台湾 性別、年代、世代問わず「日本料理」がトップ。料理のバリエーションが広く、子どもの好きな料理から、祖父母世代が親しんでいる料理まであるため、一般的に家族での会食に多く利用されていることが、40〜50代での高い数字につながっていると思われる。近年、仕事や結婚で台湾に居住するタイやベトナム人が増え、タイ料理店が台北市内に多く存在している。
韓国 性別、年代、世代問わず「日本料理」がトップ。次いで中国、イタリア料理も人気。他国と比べ、日本料理店、中国料理店へのアクセスが容易で、味覚も近い。特に中国料理は幼い頃から親しんでいる。日本料理については、ここ数年、韓国で流行している居酒屋や回転寿司チェーンなどが身近な日本料理として浸透していることが背景にあると思われる。
米国 「イタリア料理」が最多。次いで「中国料理」、「日本料理」は3位。一言で米国人といっても、人種によって嗜好は大きく異なる。例えば、ヒスパニック系が多いLAではメキシコ料理が好まれている。日本料理参入に際しても、どの地域をターゲットとするかによって、採るべき手法は異なるものと思われる。
フランス 全体では「日本料理」がトップ。イタリア、中国、インドも人気。
イタリア 日本料理がトップ。次いで中国、メキシコ、スペイン料理が人気。20代が日本料理を好んでいるが、近年、10ユーロ台(2,000円前後)で寿司をはじめとするブッフェ形式の食べ放題の業態をとる店が増えていることが、若者の集客につながっているもよう。
ロシア 第1位の「イタリア料理」は女性に人気
ベトナム 「日本料理」は男性10〜20代に最も人気
ブラジル 「イタリア料理」「日本料理」の二つが突出
タイ 「日本料理」は性・年代問わず最も人気が高い
インドネシア 「日本料理」は10〜20代女性に最も人気
アラブ首長国連邦 「インド料理」男性に、「イタリア料理」女性に人気
(注)(資料)図と同じ

(2015年3月30日収録)


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